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原子吸光分析装置の基本原理や仕組みについて解説

ZA4000

原子吸光分析装置とは

原子吸光分析装置(AAS)は、化学分析技術の一つであり、特定の元素の存在および濃度を定量的に測定するために使用される装置です。AASは試料中の特定の元素の吸収スペクトルを測定し、その吸光度から元素の濃度を算出します。この技術は、環境監視、食品分析、鉱業、冶金学、生化学、および医療分野などで幅広く応用されています。

基本原理と仕組み

原子吸光分析の基本原理は以下の通りです。

光源

AASでは、元素の吸収スペクトルを生成する光源が使用されます。一般的な光源には、ハロゲンランプやデュアルビームランプが含まれます。この光源から出る光は、元素の吸収ライン(特定の波長)に調整されます。

サンプル導入

分析対象の試料は、サンプル導入システムを介して装置内に導入されます。試料は通常、液体試料として導入され、ガスバーナーまたはフラームで加熱されます。加熱により、試料中の元素が原子状態に変換されます。

吸光度測定

原子状態の元素は、光源から出る特定の波長の光を吸収します。試料中の元素の濃度に比例して吸光度が増加し、吸光度は検出器によって測定されます。

定量分析

吸光度測定の結果、元素の吸収スペクトルが得られ、その吸光度から元素の濃度が計算されます。濃度は通常、ビールの法則に基づいて求められます。

分析の対象となる元素

AASは、特定の元素の検出および定量に使用されます。対象となる元素は幅広く、一般的なものには以下が含まれます。

金属元素

鉄、銅、鉛、亜鉛、カドミウムなどの金属元素の分析に使用されます。

非金属元素: ヒ素、セレン、ヒ素、ヨウ素などの非金属元素も分析可能です。

トレーサー元素

放射性同位体を用いたトレーサー分析にも利用されます。

原子吸光分析装置は、元素のトレーサー分析、環境汚染の監視、食品安全評価、鉱業および冶金学における金属分析など、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。

原子吸光の基本

原子吸光分析は、特定の元素の吸収スペクトルを使用してその元素の存在と濃度を測定する技術です。この分析は、試料中の元素が原子状態から励起状態に遷移し、特定の波長の光を吸収するという基本的な原理に基づいています。具体的なステップは次の通りです。

①光源から特定の波長の光が発生する。

②サンプル中の元素が加熱され、原子状態に遷移する。

③原子状態の元素は特定の波長の光を吸収し、吸光度が増加する。

④吸光度の増加は元素の濃度と関連付けられ、濃度が計算される。

原子吸光スペクトルの特性

原子吸光スペクトルは吸光度(吸光スペクトル)として表され、次の特性があります。

吸収ライン

各元素には特有の吸収ライン(吸収ピーク)が存在します。これらのラインは元素ごとに異なり、特定の波長で吸光度が増加します。吸収ラインは元素の識別に使用されます。

吸収強度

吸光度は吸収ピークの高さまたは面積で表され、元素の濃度に比例します。より高い濃度の元素ほど吸光度が増加します。

吸収ラインは一般的に非常に狭く、特定の波長範囲での吸収が観察されます。この狭さは元素の選択性に寄与します。

裾野(Baseline)

吸光スペクトルの背景には裾野が存在し、吸収ピークの周りに均一に広がります。この裾野を除去して正確な吸光度を測定します。

吸光度測定の原理

吸光度測定は、ランプ光を通過させた後のサンプル中の光強度を測定することによって行われます。測定原理は次の通りです。

・ランプ光源から特定の波長の光がサンプルに照射されます。

・サンプル中の特定の元素が光を吸収し、吸収ピークが生じます。

・吸収されなかった光は検出器に到達し、光強度を測定します。

・測定した光強度と基準光強度(サンプルを通過しない場合の光強度)の比率から吸光度が計算されます。吸光度は次の式で表されます。

吸光度 (A) = -log10(I_sample / I_reference)

ここで、I_sampleはサンプルを通過した光強度、I_referenceは基準光強度です。

原子吸光分析は、元素の識別と定量分析に優れた選択性と感度を提供するため、さまざまな分野で広く使用されています。特に金属の分析、環境監視、食品安全、および医療診断において有用です。

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