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LIBS分析装置の原理と応用:新たな分析の展望を探る

DM6-M-LIBS

LIBS分析装置とは何か?

LIBS(Laser-Induced Breakdown Spectroscopy)分析装置は、物質の化学組成を調べるための非破壊的な分析手法で、高強度のレーザー光を使用してサンプルを励起し、生成されるプラズマから放射される光スペクトルを分析する装置です。LIBSは元素分析のために広く使用され、異なる分野で応用されています。

LIBSの基本概念

IBSの基本概念について以下の要点を説明します。

レーザー励起

LIBSは高エネルギーのレーザー光を使用してサンプルを励起します。このレーザー光はサンプル表面に焦点を当て、光の強度を高めます。

プラズマ生成

レーザー光がサンプルに照射されると、サンプル表面で高温高圧のプラズマが生成されます。このプラズマにより、サンプル中の原子や分子が励起され、蛍光を放射します。

光スペクトル分析

プラズマから放射される光スペクトルを分析することにより、元素の特定と濃度の定量が可能です。吸収線、発光線、およびラマン散乱線など、様々なスペクトルを測定します。

データ解析

測定されたスペクトルはデータ解析ソフトウェアを使用して処理され、元素の同定や濃度の計算が行われます。

LIBSの歴史と発展

1960年代

LIBSの初期の研究が始まりましたが、実用的な装置はまだ存在しませんでした。

1980年代

レーザーテクノロジーの進歩により、LIBSが実用化され、特に元素分析の分野で注目を浴びました。

1990年代

LIBSはより多くの分野に適用され、環境モニタリング、地質学、および宇宙探査において利用されました。

現代

LIBSは多様な応用分野で使用され、金属鉱石の分析、文化財の保護、医学的診断、ロボティクスなどに応用されています。さらに、ポータブルLIBS装置の開発により、現場での素早い分析が可能になりました。

LIBSは非破壊的で迅速な分析が可能なため、多くの分野で使用が拡大し、新たな応用領域の開発が進行中です。

LIBSの原理と基本仕組み

LIBS(Laser-Induced Breakdown Spectroscopy)は、以下の基本仕組みに基づいて動作します。

レーザー励起

LIBS装置は高強度のレーザー光を使用します。このレーザー光はサンプル表面に焦点を当て、非常に高い光強度を生成します。

ブレークダウン現象

レーザー光がサンプルに照射されると、サンプル表面に高温高圧のプラズマが生成されます。この現象はレーザー誘起ブレークダウン(LIB)と呼ばれます。ブレークダウン現象により、サンプル中の原子や分子が励起され、高エネルギー状態に達します。

光放射

プラズマ中の励起された原子や分子は、高エネルギー状態から基底状態に戻る際に光を放射します。この放射光には特定の波長が含まれ、それにより元素や分子の識別が可能になります。

スペクトル分析

放射される光は分散装置を使用して分散させ、スペクトルを生成します。スペクトルは光の波長に関連し、元素や分子の特定のスペクトル線が観測されます。

データ解析

測定されたスペクトルはデータ解析ソフトウェアを使用して処理され、元素の同定や濃度の計算が行われます。

レーザ誘起ブレークダウン現象の説明

レーザー誘起ブレークダウン(LIB)現象は、高強度のレーザー光がサンプルに照射されると、サンプル表面に非常に高温高圧のプラズマが急激に生成される現象です。この現象の具体的な過程は以下の通りです:

レーザー光の焦点化

レーザー光がサンプル表面に焦点を当てられ、非常に高い光強度が特定の領域に集中します。

空気中の電離

高エネルギーの光強度により、サンプル表面や周囲の空気中の原子が電離し、電子が高エネルギー状態に励起されます。

プラズマ生成

電子の励起と原子の電離により、高温高圧のプラズマが急激に生成され、その中に元素や分子が存在します。

光放射

プラズマ中の励起された原子や分子は高エネルギー状態から基底状態に戻り、この過程で特定の波長の光を放射します。

LIBSスペクトルの生成

LIBSスペクトルは、プラズマ中の元素や分子が放射する光によって生成されます。このスペクトルには、放射線が特定の波長を持ち、元素や分子の識別に役立つスペクトル線が含まれています。スペクトルは波長に対する光強度をプロットしたもので、吸収線、発光線、ラマン散乱線など、様々なスペクトル線が測定されます。

分析対象としての原子・分子の選択

LIBSは元素分析に特に適しており、あらゆる元素や分子の分析が可能です。選択する元素や分子は、サンプルの性質や分析の目的に依存します。例えば、金属合金、鉱石、生体組織、大気中の汚染物質、文化財の材料など、様々な分野でLIBSが使用されています。

LIBSの応用分野

金属分析と鉱業

鉱業

LIBSは鉱石や鉱床の分析に使用されます。鉱物サンプルから様々な金属元素(鉄、銅、鉛、亜鉛など)の濃度を非破壊的に測定できます。これにより、鉱石の品質評価や鉱石探査に貢献します。

金属製品の品質管理

LIBSは金属製品(鋼鉄、アルミニウム、銅など)の合金組成や不純物の検査に使用され、品質管理と品質保証に寄与します。

環境モニタリングと大気汚染調査

大気汚染調査

LIBSは大気中の微粒子やエアロゾルの成分を迅速に分析するのに役立ちます。大気中の金属元素(例:鉛、カドミウム)や有毒物質の検出に使用され、環境保護と大気品質管理に寄与します。

土壌汚染評価

土壌の中に含まれる有害物質の分析にLIBSが使用され、環境汚染の調査やリスク評価に貢献します。

生体材料と医学分野での利用

生体材料の分析

LIBSは生体材料(組織、骨、歯など)の元素組成やミネラル化の研究に使用されます。例えば、歯のエナメル質の組成や骨組織の健康評価に応用されます。

医学的診断

生体内での元素の検出にLIBSが利用され、疾患の診断、医薬品の効果評価、および生体材料の研究に寄与します。

文化財保護

文化財や芸術作品の非破壊的な分析にLIBSが使用され、絵画、彫刻、考古学的遺物などの材料や組成を調査し、保護に役立ちます。

これらの応用分野において、LIBSは迅速な分析、非破壊的な評価、高感度、および多元素分析の能力を提供し、科学研究、環境保護、産業プロセスの最適化など多くの側面で重要なツールとなっています。

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