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マイクロプレートリーダーとは?使用用途や測定の原理も解説

GM3000

生物学、薬学、食品科学の分野で広く利用されているマイクロプレートリーダーは、科学研究における重要なツールです。
当記事では、マイクロプレートリーダーとマイクロプレートの機能と特性を詳しく解説し、それぞれの実験での応用例を提供します。さらに、複数のサンプルを効率的に分析することが可能なマイクロプレートリーダーの技術原理と、実験結果に影響を与えるマイクロプレートの種類について詳述します。実験の精度を高め、研究開発の効率を向上させましょう。

目次

1. マイクロプレートリーダーとは?

2. マイクロプレートとは
2‐1. マイクロプレートの使用目的
2‐2. マイクロプレートの種類

3. マイクロプレートリーダーの使用用途

4. マイクロプレートリーダーの測定原理
4-1. 吸光度測定
4‐2. 蛍光測定
4‐3. 発光測定
4‐4. マルチタイプ

まとめ

1. マイクロプレートリーダーとは?

マイクロプレートリーダーは、マイクロプレートに注入したサンプルの吸光度や発光強度を測定する実験装置です。マイクロプレートのウェル内で起こる各種反応は光シグナルに変換され、マイクロプレートリーダーによって検出されます。

マイクロプレートリーダーは、マイクロプレートのウェル数に応じて、複数のサンプルを一括で測定できるのが特徴です。実験作業効率を向上させるツールとして、生物・細胞学や薬品研究、食品・化粧品をはじめとする製品開発研究といった幅広い分野で活用されています。

実験時間や試薬コストが削減可能なため、研究者の負担を軽減する効果が期待できます。マイクロプレートリーダーの活用によって、研究において重要なデータ解析と考察により集中できる点も大きなメリットです。

2. マイクロプレートとは

マイクロプレートは、ウェルと言う小さいシャーレのようなくぼみが付いた実験器具で、マイクロタイタープレートとも呼ばれます。マイクロプレートリーダーと組み合わせることで、吸光度測定や蛍光測定などに活用できるのが特徴です。また、マイクロプレートのウェル底の形状や色、素材は用途に合わせて選択できます。

2‐1. マイクロプレートの使用目的

マイクロプレートは、細菌学や血清学などをはじめとするマイクロ分析に活用されます。1つのマイクロプレートに、数十個程度のウェルが付いているため、同条件下で多くの実験データが得られるのが特徴です。

具体的には、細胞株や微生物を同時に複数培養したり、サンプルの希釈系列を作成したりできます。特に、微量サンプルを高感度で測定する際には、マイクロプレートリーダーと組み合わせた吸光検出や蛍光検出が適しています。

マイクロプレートが頻繁に使われる分析方法としては、ELISA法が有名です。ELISA法は酵素結合免疫吸着法とも呼ばれ、主に生化学・臨床検査などの現場で用いられます。

ELISA法では、マイクロプレートに吸着させた抗原に対し、特異性の高い抗原抗体反応によって抗体を結合させます。抗体に事前に発光酵素を結合させておき、酵素反応で生じた発光をマイクロプレートリーダーで検出するシステムです。

2‐2. マイクロプレートの種類

マイクロプレートには、ウェルの数や大きさ、形状・素材などによって複数の種類が存在します。ウェルの数については、96穴プレートが一般的です。6穴プレートから9,600穴プレートまで、マイクロプレートごとにウェルの数にも大きな差があります。

また、色は透明や白、黒などが見られます。黒は光散乱を最小限に抑え、白は発光シグナルを最大化するといった、それぞれの特徴と実験用途に応じて選択可能です。透明なマイクロプレートが主流ですが、発光・蛍光測定には不向きとされ、吸光度の測定に多く使われます。

ウェルの形状には、平底や丸底、V底などの種類があります。例えば、平底タイプはウェル底から測定するプレートリーダーを使う場合や、細胞培養に最適です。マイクロプレートの素材については、ガラスやポリエチレン、ポリプロピレンなどが見られます。

実験結果に関わるため、使用目的に適した種類や品質のマイクロプレートを選ぶのが大切です。

3. マイクロプレートリーダーの使用用途

高い技術で、一度に多くのサンプルを取り扱えるマイクロプレートリーダーを使うと、スペースが限られているラボでもさまざまなデータが測定可能です。濃度測定などの応用も効くため、生物学分野や生化学分野に加え、食品・化粧品研究をはじめとする産業分野でも活用されています。マイクロプレートリーダーを使った実験例として、以下の5つを解説します。

色素の定量サンプルとなる物質に色がある場合は、
マイクロプレートリーダーによって直接定量可能です。
タンパク質の定量タンパク質と色素クマシーブルーの結合により、
溶液の吸光度が変化する仕組みを利用し、溶液中のタンパク質濃度を定量します。
細胞増殖の測定多くのサンプルの細胞数も測定可能です。
薬剤を細胞に代謝、発色させて定量するMTTアッセイや、
核酸に特異的に結合する蛍光試薬を使って細胞数を数える方法があります。
細胞生存率の測定生細胞と死細胞を分類する定量も可能です。
膜透過性と不透過性のDNA染色試薬を使い、染め分けて判別します。
酵素活性の測定酵素活性に応じたキットを使って測定可能です。
プロテアーゼやコラゲナーゼ、エラスターゼなど、
酵素活性に応じて最適化されたキットが各メーカーから販売されています。

4. マイクロプレートリーダーの測定原理

実験効率を向上させるマイクロプレートリーダーの測定原理は、1つに限定されません。吸光度や蛍光、発光といった測定種類ごとに、どのような原理で測定しているのかを解説します。

4-1. 吸光度測定

吸光度とは、溶液に吸収される光の量です。光学密度とも呼ばれます。吸光度測定では、マイクロプレートに注入された試料に特定の光を照射した際に、吸収・透過する光子を測定します。吸光度は吸光係数と光が溶液を通過した距離、溶液濃度を用いて算出可能です。

吸光度測定はタンパク質定量や細胞生存率、酵素反応など、幅広いアプリケーションで使用できます。実際に、学術的なサイエンス分野や創薬、食品飲料の品質管理といった広範な領域で活用されています。

ただし、正確に測定できない可能性があるため、プレートの汚れや溶液中への気泡混入などには注意が必要です。

4‐2. 蛍光測定

蛍光測定では、フィルターを介してマイクロプレート内の試料に特定の光を照射し、試料から放出される光子を測定します。蛍光測定は溶液自体の発光を検出するため、吸光度測定と比較すると、より高感度な測定が実現可能です。

ただし、蛍光測定の測定値は吸光度とは異なり、絶対的な値ではありません。蛍光シグナルの強度は、測定日や使用機器によって異なる相対的な値であるため、RFUという相対蛍光単位を用いて表します。

蛍光測定は、学術研究や創薬分野に加え、食品・水質モニタリングなどの幅広い分野で使用されています。

4‐3. 発光測定

発光測定は、マイクロプレート中の化学反応や生物化学反応、酵素反応による発光を測定する方法です。そもそも発光とは、化学反応や酵素反応によって、物質が光を放つことを意味します。

発光測定では、蛍光測定で用いる励起用の光源などが必要ありません。化学反応や酵素反応によって、物質が自ら光を放出するため、蛍光測定よりも光学的にシンプルな測定方法です。発光シグナルの強度は、蛍光シグナルと同様に相対的な値であり、RLUという単位が用いられます。

発光測定も蛍光測定と同じように、学術研究や創薬分野、食品・水質モニタリングなどの分野で活用されています。

4‐4. マルチタイプ

マルチタイプのマイクロプレートリーダーは、吸光と蛍光、発光の測定原理を1台に備えたものです。時間分解蛍光や蛍光偏光などを幅広く測定できる、高度な機能を持つタイプもあります。

幅広い測定技術や自動化機能を兼ね備えたマルチモードプレートリーダーは、モード変更によって複雑な実験にも対応できるのがメリットです。生物学や生化学分野に加えて、環境研究や食品・化粧品産業などでも使用されています。

まとめ

今回は、マイクロプレートリーダーの基本概念、その使用目的、および各種測定原理について詳しく説明しました。

マイクロプレートリーダーは、生物学、化学、臨床研究などの多岐にわたる分野で非常に重要な役割を果たしており、複数のサンプルを同時に迅速かつ正確に分析する能力により、研究の効率化と精度を向上させます。

適切なマイクロプレートの選択とマイクロプレートリーダーの活用は、時間とコストの削減にも繋がり、科学的発見を加速する鍵となるでしょう。

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