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マルチプレックスアッセイシステムとは?原理や仕様などの基礎を解説

Bio-Plex-3Dシステム加工済

マルチプレックスアッセイシステムは、医学研究や診断の世界に革命をもたらす技術です。先進的な手法により、研究者や医師は一度に複数のバイオマーカーを検出できるため、時間とコストの大幅な削減が可能になります。がん研究から代謝病検査まで、広範囲にわたる応用がこの技術の可能性を拡大しています。
この記事では、マルチプレックスアッセイシステムの原理や用途、特徴について詳しく解説します。科学研究やバイオテクノロジーに関わる方は、ぜひお役立てください。

目次

1. マルチプレックスアッセイシステムとは?
1-1. マルチプレックスアッセイの原理
1-2. xMAP®テクノロジーとは

2. マルチプレックスアッセイの用途・使用目的

3. マルチプレックスアッセイシステムの特徴・仕様
3-1. xMAP®INTELLIFLEXシステム
3-2. LUMINEX®200™システム
3-3. FLEXMAP 3D™システム

まとめ

1. マルチプレックスアッセイシステムとは?

マルチプレックスアッセイシステムは、複数の標的分子を同時に測定できる分析方法のことです。従来のELISAなどの単一検出システムとは異なり、1回の測定で最大500種類のタンパク質アッセイを測定できます。

マルチプレックスアッセイシステムは、一貫して整合性のある結果を提供し、研究者がベストな状態で仕事ができるようサポートするシステムです。免疫学をはじめ、がんや獣医学、代謝・内分泌学など多分野にわたる研究の発展に貢献する画期的な測定装置として注目を集めています。

1-1. マルチプレックスアッセイの原理

マルチプレックスアッセイは、Luminex xMAP® テクノロジーを用いたマルチプレックス解析装置を同時に使用することで、正確な測定結果を迅速に情報提供します。

「MILLIPLEX® マルチプレックスアッセイ」を参考にしたマルチプレックスアッセイの原理は、以下の通りです。

12種類の蛍光色素を用いて段階的に染色し、100種類のビーズを作製します。1種類の標識のビーズには、1種類の抗体を結合させます。Luminex xMAP® テクノロジーの基礎となるのが、ビーズの番号となるビーズ固有値です。
21つのウェルに3種類の抗体の付いたビーズを入れると、サンプル液とビーズのインキュベーションにより、タンパク質がビーズ表面の抗体に結合します。
32のウェルに、ビオチン標識抗体を結合させ、ストレプトアビジン-PEで蛍光ラベルします。
4フローサイトメトリー技術を活用して、2種類のレーザーで標的タンパク質量とビーズ番号(ビーズの固有値)の測定を実施し完了です。

(出典:Merck「MILLIPLEX® マルチプレックスアッセイ測定原理」/
https://www.sigmaaldrich.com/JP/ja/campaigns/milliplex/principles

マルチプレックスビーズをサンプルに添加することにより、それぞれのサンプルから複数の生化学アッセイ結果を獲得できます。従来型のELISA法と比べ、より多くの種類のバイオアッセイをマルチプレックス測定できるのが最大の利点です。測定・実験にかかる時間はもちろん、作業量やコストも大幅に削減できます。

1-2. xMAP®テクノロジーとは

xMAP®テクノロジーは、蛍光標識マイクロスフィアまたはビーズを用いて、単一の微量サンプルから複数ターゲットを同時に捕捉するマルチプレックスアッセイシステムです。高度な流体工学、光学、デジタル信号処理と独自マイクロスフィア技術を組み合わせることで実現されています。

「QuantiGene Plex」または「ProcartaPlexアッセイ」を使用して、最大80種類の異なるタンパク質またはRNA標的を測定することが可能となりました。xMAP®テクノロジー技術は、HPV(ヒトパピローマウイルス)やRAS・RAF遺伝子変異検出キットや解析試薬の開発、受託検査などに用いられています。

今後も、より多くの研究分野でxMAP®テクノロジーが活用されると期待されています。

2. マルチプレックスアッセイの用途・使用目的

従来の単一ターゲット分析とは異なるママルチプレックスアッセイシステムは、一度のサンプルで複数の分析物を同時に測定できるのがメリットです。研究の効率化とコスト削減に大きく貢献するシステムとして幅広い分野から注目を集めています。

マルチプレックスアッセイの代表的な使用目的は以下の通りです。

・細胞・遺伝子治療
細胞株の特性評価、治療効果のデータ解析、安全性評価などを分析
・食品偽装調査
食品中の残留農薬、添加物、遺伝子組み換え成分などを迅速かつ高精度に分析
・AAV特性評価
AAVベクターの複製能、転移能、安全性などの評価
・微生物検出
血液、尿、糞便などの臨床検体から、病原体や菌類を迅速かつ高精度に検出
・コピー数多型アッセイ
遺伝子疾患の診断や、創薬研究における標的候補の検討などに使用

上記以外にも、生体試料といった少量のサンプルの解析、バイオマーカー探索研究などにも用いられています。さまざまな分野で導入され、多くの研究者から支持されるマルチプレックスアッセイは、以下のような用途にも使用されています。

・病原体の同定
・突然変異解析
・RNA検出
・遺伝子検出解析
・連鎖解析
・法医学研究

分析の効率化はもちろん実験・研究コストの削減も、マルチプレックスアッセイが幅広い分野で使われる理由の1つと言えるでしょう。

3. マルチプレックスアッセイシステムの特徴・仕様

近年、生命科学研究や臨床検査において、マルチプレックスアッセイシステムの重要性が高まっています。

代表的なマルチプレックスアッセイシステムは、「xMAP®INTELLIFLEXシステム」「LUMINEX®200™システム」「FLEXMAP 3D™システム」の3つです。以下では、それぞれの特徴と仕様について解説します。

3-1. xMAP®INTELLIFLEXシステム

xMAP®INTELLIFLEXシステムは、高性能で汎用性の高いマルチプレックスアッセイシステムです。
96ウェルプレートと384ウェルプレートに対応しており、最大500plexの測定が可能です。また、5.5logという広いダイナミックレンジを持ち、希釈度の低いサンプル測定にも適しています。

コンパクトでありながら、豊富なアッセイポートフォリオと幅広いダイナミックレンジを兼ね備えた利便性の高い製品です。自動化された起動、シャットダウン、メンテナンスルーチンで、操作性にも優れています。xMAP®テクノロジーの確立された性能と最先端の機能を組み合わせることで、検出感度を高めアッセイ性能が向上します。

3-2. LUMINEX®200™システム

LUMINEX®200™システムは、xMAP(Multiple Analyte Profiling)テクノロジーを採用したミドルレンジのソリューションです。Luminex ®200™システムにLuminex®XYプラットフォームを補完することで、マイクロプレートにおける各ウェルのポジショニングを最適化できます。マイクロプレートの自動システムにより、1時間以内という短時間で最大9,600(1プレートあたり)のデータポイントが測定可能となりました。血清、プラズマ、細胞培養培地、組織由来サンプルなど、さまざまなサンプルの分析に役立ちます。

また、磁気ビーズ、非磁気ビーズどちらのイムノアッセイにも対応し、使用者の前提知識がなくても直感的に利用できるなど、優れた操作性も魅力です。バーコードリーダーでのサンプルID入力も可能で、多項目の検体に対応できます。

3-3. FLEXMAP 3D™システム

FLEXMAP 3D™システムは、高スループットなマルチプレックスアッセイシステムです。
多様な蛍光ビーズセットと革新的なシステム設計により、サンプルから最大500種類の分析物を同時に測定できます。タンパク質および核酸バイオマーカーのハイスループットマルチプレックス定量もスムーズです。

ユーザーフレンドリーな操作性に加え、プローブ高さの自動調整や日々のメンテナンスの自動化など便利機能が内蔵されており、研究の業務効率化をサポートします。FLEXMAP 3D™システムは、サンプル量の柔軟性とスループットの向上を両立させた高性能なマルチプレックスアッセイシステムです。

まとめ

マルチプレックスアッセイシステムは、複数のターゲットを同時に分析することで、生命科学研究の効率を大きく向上させます。これにより、研究者はより迅速にデータを得られ、精度の高い結果を基に新たな治療法や診断方法の開発を加速することが可能です。未来の医療に不可欠な技術として、その重要性はますます高まるでしょう。

代表的なマルチプレックスアッセイシステムは、「xMAP®INTELLIFLEXシステム」「LUMINEX®200™システム」「FLEXMAP 3D™システム」の3つです。それぞれ強みがあり、他の機能と組み合わせることで、さらなる利点を得ることができます。

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