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エバポレーターとは?原理や用途・正しい操作手順を解説

REV202Mシリーズ

エバポレーター(ロータリーエバポレーター)は、減圧下でフラスコを回転させながら溶媒を効率的に蒸発・除去する実験装置です。真空ポンプで装置内を減圧することで溶媒の沸点を下げ、低温でも蒸発が進むため、熱に弱い成分の分解を抑えながら処理できます。フラスコを回転させることで試料が薄い液膜となり、蒸発面積が増えて効率が向上します。

当記事では、ロータリーエバポレーターの基本原理と仕組みを解説した上で、濃縮、分離、溶媒除去、蒸留といった主な用途を紹介します。

目次

1. エバポレーターとは
1-1. 化学に使われる「ロータリーエバポレーター」

2. ロータリーエバポレーターの原理

3. ロータリーエバポレーターの用途
3-1. 濃縮
3-2. 分離
3-3. 溶媒の除去
3-4. 蒸留

4. ロータリーエバポレーターの操作手順
4-1. ロータリーエバポレーターを操作するときの注意点

まとめ

1. エバポレーターとは

エバポレーターは、熱を移動させる「空調機器の蒸発器」と、溶媒を効率よく蒸発させる「回転式蒸発装置」の2種類に大別できます。ここでは、化学分野で使用される「回転式蒸発装置」のロータリーエバポレーターについて解説します。

1-1. 化学に使われる「ロータリーエバポレーター」

ロータリーエバポレーターは、溶媒を効率よく留去して試料を濃縮するための回転式蒸発装置です。蒸留フラスコを回転させて内壁に薄い液膜を作り、蒸発面積を増やして蒸発を速めます。加熱は恒温槽(ウォーターバス、オイルバスなど)で行い、温度を細かく管理します。

さらに真空ポンプやアスピレーターで減圧し、溶媒の沸点を下げて低温で蒸留できるため、熱に弱い成分の損傷を抑えやすくなります。蒸発した溶媒は冷却管で凝縮し、受けフラスコに回収します。回転数、浴温、真空度のバランスが重要で、突沸を避けるため段階的に減圧します。研究室では濃縮、溶媒交換、反応後の溶媒除去、分留の前処理などで広く用いられます。

2. ロータリーエバポレーターの原理

ロータリーエバポレーターの原理は、「減圧で沸点を下げる」「回転で蒸発を速める」「凝縮して回収する」の3点で説明できます。まず真空ポンプやアスピレーターで装置内を減圧すると、圧力が下がった分だけ溶媒の沸点も低下し、常圧より低い浴温(水浴・オイルバスなど)でも沸騰・蒸発が進みます。そのため、熱に弱い成分を扱う濃縮でも分解リスクを下げられます。

次に蒸留フラスコを回転させると、試料が内壁に薄い液膜として広がり、表面積が増えて熱が均一に伝わります。攪拌効果で温度むらが減り、突沸による飛散も起こりにくくなります。蒸発した溶媒蒸気は冷却管で冷やされて液化し、受けフラスコに回収されます。運転では浴温・回転数・真空度を段階的に調整し、急な減圧や過加熱を避けることが重要です。

冷却水の温度や流量が不十分だと回収率が落ちるため、溶媒の沸点と真空度に合わせて設定します。目的が溶媒交換の場合は、留去後に別溶媒を加え、同じ原理で再度留去して入れ替えます。

3. ロータリーエバポレーターの用途

ロータリーエバポレーターは、溶媒をやさしく取り除きながら試料を扱えるため、研究室では濃縮、分離、溶媒の除去、蒸留などで用いられます。ここでは、それぞれの用途でロータリーエバポレーターがどのような使われ方をするのかを解説します。

3-1. 濃縮

ロータリーエバポレーターの代表的な用途が「濃縮」です。試料に含まれる成分を濃くしたい場合、溶媒だけを減圧下で低温のまま蒸発させ、目的成分の分解を抑えつつ体積を減らします。分析の前処理として抽出液を濃縮したり、抽出に使った溶媒を除去したりする場面で用いられます。

天然物から成分を抽出した後の溶媒除去にも適しており、乾燥・脱水に向けた工程を短時間で進められます。たとえば健康食品原料の成分検討では、抽出後に溶媒を飛ばして濃縮し、次の分離や測定に回します。

3-2. 分離

ロータリーエバポレーターは、揮発しやすい成分と揮発しにくい成分を分ける「分離」にも使われます。減圧と加熱温度を調整すると、沸点の低い成分から先に蒸発して冷却管で回収され、残りはフラスコ側に残ります。混合溶媒の場合も、条件を段階的に変えることで、回収フラスコに集まる成分とフラスコ内に残る成分を分けられます。

ただし、沸点が近い液体同士を高精度に分ける用途では、分留塔を備えた蒸留装置が適する場合があります。目的の分離精度に応じて使い分けます。

3-3. 溶媒の除去

ロータリーエバポレーターは、反応や抽出の後に「溶媒だけを取り除く」工程で広く使われます。有機合成では、目的物を含む反応液から溶媒を減圧下で留去し、次の精製(再結晶、カラムなど)に進めます。

化学会社や製薬企業でも、低温で短時間に溶媒を飛ばせる点が利点です。また、ポリマーや食品から添加剤・残留農薬を抽出した試験では、抽出液の溶媒を除去して濃縮し、GC/MSなどの分析にかけやすい状態に整えます。ダイオキシンやPCP(ペンタクロロフェノール)の前処理でも用いられます。

3-4. 蒸留

ロータリーエバポレーターは、蒸発しやすさ(揮発度)の差を使って溶媒を回収する「蒸留」にも利用されます。減圧で沸点を下げ、浴温と真空度を合わせて目的の溶媒を蒸発させ、冷却管で凝縮して受けフラスコに集めます。

混合溶媒の場合は、真空度や浴温を段階的に変えると、先に飛ぶ溶媒を優先して回収できます。低温で進めやすいので熱に弱い試料にも配慮できます。溶媒交換では、不要な溶媒を留去した後に別溶媒を加え、同じ操作で入れ替えます。一方、沸点が近い成分を厳密に分けたいときは、分留塔付きの蒸留装置が適します。

4. ロータリーエバポレーターの操作手順

ロータリーエバポレーターは、減圧で沸点を下げ、回転で液膜を作って蒸発を速める装置です。溶媒の除去に多用されるため、標準手順と注意点を表に整理します。

1冷却水循環装置を起動し、冷却管を先に冷やして回収効率を確保する
2トラップ球と受けフラスコを装着し、突沸で溶液が吸い込まれる事故を抑える
3水浴温度を留去する溶媒に合わせて設定し、高温設定を避ける
4試料フラスコを装着し、液量を6割以下にしてジョイントを確実に固定する
5回転を開始し、薄い液膜を作って温度むらと飛散を抑える
6減圧をゆっくり開始し、急減圧を避け、落ち着いたら水浴に浸す
7蒸発を監視し、回転数・真空度・浴温を段階的に調整する(結晶析出や異物は突沸の原因のため注意)
8濃縮後は水浴から上げ、回転停止→ベントで常圧→ポンプ停止の順で止め、常圧確認後にフラスコを外す
9後片付けとして溶媒を所定容器へ移し、トラップ球とジョイントを洗浄して冷却水と水浴を停止する

4-1. ロータリーエバポレーターを操作するときの注意点

ロータリーエバポレーターを操作する際は、突沸の防止とメンテナンスが重要です。

■突沸の避け方
最も多い失敗は突沸で、試料が勢いよく冷却器や受けフラスコに吹き込み、分離した溶媒と再び混ざってしまうトラブルです。
対策として、フラスコの接続口にトラップを取り付けると損失を抑えられます。また、急な減圧を避け、浴温と回転数を段階的に上げましょう。
特にジクロロメタンやヘキサンなど揮発性の高い溶媒は突沸しやすいため、より注意が必要です。

■メンテナンスのポイント
使用前には、ガラス部の破損、クリップの割れ、真空・冷却水配管の接続状態を確認します。
接合部には少量の真空グリースを塗布し、回転部の異音や偏芯がないかチェックしましょう。
使用後は装置表面の汚れを拭き取り、ガラス容器は規定に従って洗浄します。加熱バスの水や油は定期的に交換し、摺合せ部が固着した場合は温めて外します。真空漏れの点検も定期的に行い、電気部品に水分が入らないよう配線と配管の距離を確保することが大切です。

エバポレーターの導入・選定でお悩みならアズサイエンス

まとめ

ロータリーエバポレーターは、減圧で沸点を下げ、フラスコを回転させて液膜を作り、溶媒を効率的に蒸発させる装置です。蒸発した溶媒は冷却管で凝縮して回収されます。熱に弱い成分でも低温で処理できるため、濃縮、分離、溶媒除去、蒸留などに広く利用されます。

使用時に最も多い失敗は突沸で、トラップの取り付けや段階的な減圧で防ぎます。使用前後のメンテナンスとして、ガラス部の点検、真空グリースの塗布、定期的な清掃と真空漏れの確認が必要です。アズサイエンスではエバポレーターも取り扱っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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