COLUMN製品コラム

濃縮装置の選び方|4つの方式とSpeedVacの特長を詳しく解説

Savant SpeedVac シリーズ

濃縮装置は、製造や研究の現場で「仕上がり」と「効率」を左右する重要な設備です。液体を扱う工程では、濃度のわずかな差が品質や歩留まり、コストに直結します。さらに、熱に弱い成分を守りながら濃縮したい、処理量を増やしつつ安定運転したい、廃液の負荷を減らしたいなど、求められる条件は多岐にわたります。目的に合わない方式を選ぶと、時間がかかるだけでなく、変質や詰まりなどのトラブルにつながることもあります。

当記事では、濃縮装置の基礎知識や代表的な4つの方式、また遠心エバポレーターを構成する3つの主要ユニットなどを解説します。

目次

1. 濃縮装置の基礎知識
1-1. 濃縮装置の定義と役割
1-2. 真空(減圧)濃縮が利用される理由

2. 濃縮装置の代表的な4つの方式
2-1. 自然循環式
2-2. 強制循環式
2-3. 薄膜流式
2-4. 遠心式(遠心エバポレーター)

3. 遠心エバポレーターを構成する3つの主要ユニット
3-1. 遠心チャンバー
3-2. 冷却トラップ(コンデンサー)
3-3. 真空ポンプ

4. Thermo Scientific Savant SpeedVac シリーズの特長・仕様

まとめ

1. 濃縮装置の基礎知識

濃縮装置は、液体から溶媒を蒸発させ、溶質を残して濃度を高める蒸発濃縮の装置です。果汁や調味液、化学反応液、医薬品の製造液、洗浄排水など多様な液体を対象に、製造の中間工程としてバッチ式・連続式で運用されます。食品・化学・医薬品分野の工場に加え、試作や検証を行うパイロット設備でも導入されています。

1-1. 濃縮装置の定義と役割

濃縮装置の定義は、液体から溶媒(主に水分)を分離して濃度を高めるための装置です。役割は、扱う液量を減らして輸送・保管の効率を上げること、工程条件を整えて製造を安定させることにあります。

真空による減圧濃縮を用いる方式では、沸点を下げて低温で処理できるため、香気成分や有効成分など熱に弱い成分の劣化を抑えながら濃縮しやすくなります。また、廃液の体積を減らして処理負荷を下げる用途でも用いられます。

1-2. 真空(減圧)濃縮が利用される理由

真空(減圧)濃縮は、装置内の圧力を下げて液体の沸点を下げる仕組みを利用します。沸騰は「液体の蒸気圧=周囲圧」になったときに起こるため、周囲圧を下げるほど低い温度でも蒸発が進みます。

たとえば、水は常圧で約100℃ですが、減圧下では60℃前後でも沸騰します。低温でも蒸発が進むため、過度な加熱を避けつつ短時間で溶媒を留去できます。結果として、香気成分や有効成分など熱に弱いサンプルの変質を防ぎ、酸化や褐変のリスクも抑えながら濃縮しやすい点がメリットです。

2. 濃縮装置の代表的な4つの方式

濃縮装置は、処理量や粘度、熱に弱い成分の有無など液体の性質と目的に合わせて方式を選びます。ここでは産業用から研究用まで、代表的な4つの濃縮方式を紹介します。

2-1. 自然循環式

自然循環式は、加熱室と蒸発室を分け、加熱で生じる密度差を利用した自然対流で液体を循環させる濃縮方式です。ポンプに頼らない分、構造がシンプルで設備費やランニングコストを抑えやすい点が特徴です。比較的扱いやすい液体に向き、糖液や水あめなどの濃縮で採用されます。濃度むらを防ぐため、撹拌や流れの調整で均一性を確保する運用が一般的です。

2-2. 強制循環式

強制循環式は、ポンプで液体を加熱部と蒸発部へ強制的に循環させる濃縮方式です。流速を確保できるため、粘度が高い液体でも伝熱が安定し、濃度むらが起こりにくい点が特徴です。結晶を含むスラリー液でも配管内で滞留しにくく、スケールや析出による詰まりのリスクを抑えながら処理できます。高負荷運転に向く一方、ポンプ動力が必要で、自然循環式より運転コストが上がりやすい点は留意します。

2-3. 薄膜流式

薄膜流式は、伝熱面に液体を薄い膜として広げ、流しながら加熱して蒸発させる濃縮方式です。液膜が薄いほど熱が伝わりやすく、短時間で蒸発が進むため、加熱による劣化を抑えやすい点が特徴です。特に香気成分や有効成分など熱に敏感な食品・医薬品で多用され、果汁や乳製品、酵素溶液などの濃縮に用いられます。処理時間を短くできる一方、粘度や付着性が高い液体は運転条件の調整が必要です。

2-4. 遠心式(遠心エバポレーター)

遠心式(遠心エバポレーター)は、減圧下で試料に遠心力をかけ、溶媒を蒸発させて濃縮する方式です。圧力を下げて沸点を下げつつ、遠心力で液面を安定させるため、突沸や泡立ちを抑えながら穏やかに濃縮できます。加熱や飛散によるサンプルロスを抑えやすく、微量サンプルでも回収効率が高い点が強みです。DNA・RNA、ペプチドなどのバイオ試料や、分析前処理の濃縮・乾燥で活用され、研究・分析用途に適しています。

3. 遠心エバポレーターを構成する3つの主要ユニット

遠心エバポレーターは、減圧と遠心力を安定して制御し、突沸や溶媒の漏れを抑えながら濃縮を進めます。ここでは、安全かつ迅速な濃縮に欠かせない3つの主要ユニットを紹介します。

3-1. 遠心チャンバー

遠心チャンバーは、サンプル容器(チューブやバイアル)をセットし、ローターを高速回転させて遠心力を与える中核部です。減圧下で回転させることで、液面が安定し、泡立ちや飛散を起こしにくくします。

さらに遠心力により溶液内に圧力勾配が生じ、沸騰が液面全体で急に起こるのではなく、底側から穏やかに進みやすくなります。この作用によって突沸を抑え、微量サンプルでもロスを抑えながら濃縮を進める役割を担います。

3-2. 冷却トラップ(コンデンサー)

冷却トラップ(コンデンサー)は、蒸発してチャンバー外へ出ようとする溶媒ガスを冷却し、液体に戻して回収するユニットです。溶媒をここで捕集することで、真空系に溶媒蒸気が流れ込みにくくなり、真空ポンプの劣化や故障リスクを下げられます。

また、排気と一緒に溶媒が実験室へ放出される量を減らせるため、臭気や有機溶媒による環境汚染の抑制にもつながります。結果として、安定した減圧状態を維持しやすくなり、濃縮の再現性や安全性を支える重要な役割を担います。

3-3. 真空ポンプ

真空ポンプは、装置内の空気や溶媒蒸気を排気して減圧状態をつくり、溶媒の沸点を下げるための心臓部です。圧力が下がるほど低温でも蒸発が進むため、熱に弱い試料でも穏やかに溶媒を留去しやすくなります。

一方で、真空度が強すぎると突沸や乾きすぎ、弱すぎると時間がかかる原因になります。使用する溶媒の沸点や蒸気圧、混合溶媒の条件に合わせて、適切な到達真空度と排気速度を選ぶことが重要です。冷却トラップと組み合わせ、ポンプへの溶媒流入も抑えます。

4. Thermo Scientific Savant SpeedVac シリーズの特長・仕様

Thermo Scientific Savant SpeedVacシリーズは、減圧で溶媒の沸点を下げ、加温と遠心力を組み合わせて突沸や泡立ちを抑えつつ、サンプルを迅速に濃縮・乾燥する遠心濃縮装置です。50年以上の販売実績があり、用途に合わせて一体型、セミ一体型、コンポーネント型を選べます。核酸の濃縮に向く小型一体型から、活性有機溶媒、強酸、DMSOに対応する構成までラインアップが広く、設置スペースや運用方針に合わせやすい点が特長です。

ローターの種類が豊富で多様な容器に対応し、一体型はローメンテナンスで運用できます。コンポーネント型は各ユニットを個別に選定でき、溶媒条件に合わせた最適化がしやすい点も利点です。システムは遠心チャンバー、冷却トラップ、真空ポンプで構成され、必要に応じてベーパーネット(オプション)も追加できます。

まとめ

濃縮装置は、液体から溶媒を蒸発させて溶質を残し、濃度を高める装置で、食品・化学・医薬品や排水処理などで使われます。減圧(真空)にすると沸点が下がり、低温でも蒸発が進むため熱に弱い成分の劣化を抑えやすい点が利点です。

方式は自然循環、強制循環、薄膜流、遠心(遠心エバポレーター)の4つが代表例です。遠心式は減圧と遠心力で突沸を防ぎ、微量試料の濃縮・乾燥に向きます。主要部は遠心チャンバー、冷却トラップ、真空ポンプです。

Thermo Scientific Savant SpeedVacシリーズは遠心式の製品群で、一体型と構成型から選べ、容器に合うローターも選択可能です。アズサイエンスでは、Thermo Scientific Savant SpeedVacシリーズの濃縮装置を取り扱っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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