COLUMN製品コラム

音叉振動式レオメーターとは?測定原理や製品仕様を解説

RV-10000A

研究開発や品質管理の現場では、試料の粘度や流動性を精密に測定することが求められます。特に、非ニュートン流体や温度依存性の強い試料では、測定方式の選択が結果の正確性を左右します。こうした場面で有効なのが、温度と粘度の関係をリアルタイムで把握できる「音叉振動式レオメーター(音叉型振動式レオメーター)」です。

当記事では、音叉振動式レオメーターの概要や測定原理、他方式との違い、代表的な製品「RV-10000A」の特長と仕様を解説します。自社に最適な機器を見極めるための判断材料としてご活用ください。

目次

1. 音叉振動式レオメーターとは?
1-1. レオメーターとは?
1-2. 音叉振動式レオメーターの測定原理

2. 音叉振動式以外のレオメーターの種類
2-1. 回転式レオメーター
2-2. 振動式レオメーター
2-3. キャピラリーレオメーター
2-4. テクスチャーアナライザー

3. 音叉振動式レオメーター「RV-10000A」の特長・製品仕様
3-1. 特長
3-2. 製品仕様

まとめ

1. 音叉振動式レオメーターとは?

音叉振動式レオメーターとは、液体の粘度を測定するための振動式レオメーターの一種であり、音叉状の振動子を利用した測定機器です。液体中で振動子を共振させ、一定の振幅を維持するために必要な加振力を解析することで粘度を算出します。振動子は薄型プレート状で、試料組織を壊しにくく安定した測定が可能であるほか、清掃が容易で応答性にも優れています。
また、振動子と温度センサーが隣接しているため、温度と粘度の関係を正確かつリアルタイムで把握することが可能です。付属容器だけでなく任意の容器を用いた測定もでき、透明容器を使用すれば試料の状態を観察しながら測定できる柔軟性も備えています。

1-1. レオメーターとは?

レオメーターとは、物質の流動性や変形特性を定量的に測定する装置であり、レオロジー特性を把握するために用いられます。液体や溶液の粘性、固体の弾性・塑性変形など、外部から加えた力に対する応答を評価するのが主な役割です。
測定方法は、回転や振動によって試料に一定の力を与え、その際に生じる変形や流れをセンサーで検出し、解析ソフトウェアで数値化するという仕組みです。得られる代表的な指標は、液体の「さらさら」や「ドロドロ」を示す粘度、形を元に戻そうとする弾性、そして両者が合わさった粘弾性です。食品や医薬品、化学工業などの幅広い分野において、新素材の研究開発や品質管理、生産工程の最適化などに活用されています。

1-2. 音叉振動式レオメーターの測定原理

音叉振動式レオメーターの測定原理は、試料中に薄い音叉状の振動子を挿入し、一定の周波数で振動させる仕組みに基づいています。振動子が液体に接すると粘性による摩擦力が働き、これによって振動の振幅が変化します。振幅を一定に保つように駆動電流を調整し、その電流量から粘度を算出するのが装置の役目です。
理論的には、液体から振動子が受ける機械的インピーダンスにより、電磁駆動部が与える力が決まり、この力は試料の粘度(η)と密度(ρ)の積に比例します。そのため、音叉振動式レオメーターが表示する測定結果は「粘度×密度」の値となり、これを基に試料の流動特性を評価することが可能です。

2. 音叉振動式以外のレオメーターの種類

レオメーターには音叉振動式以外にも、用途や試料特性に応じてさまざまな方式があります。回転式や振動式、キャピラリーレオメーター、テクスチャーアナライザーなど、ここからは代表的な方式の特徴や活用分野について解説します。

2-1. 回転式レオメーター

回転式レオメーターは、サンプルを保持するカップと内部のローター(円筒)を回転させて測定する、最も一般的に利用される測定方式です。ローターの回転によって生じるせん断応力と、サンプルが示すせん断速度の関係を解析することで、流動特性や粘度を詳細に評価できます。

非ニュートン流体のように外力によって粘度が変化する物質も測定でき、実際の使用環境に近い条件で評価できる点がメリットです。一方で、比較的大量のサンプルが必要であったり、測定に時間がかかることで流体の性質が変化する可能性があったりする点はデメリットと言えます。

2-2. 振動式レオメーター

振動式レオメーターは、サンプル内に設置した振動子を一定の周波数で振動させ、その応答からせん断応力とせん断速度の関係を求める装置です。粘性だけでなく、弾性を含む粘弾性特性を同時に把握でき、ゲルや樹脂などの評価にも適しています。

測定に必要なサンプル量が少なく、リアルタイムにデータを取得できるため効率的です。また、サンプルの性質変化が起こりにくいのも利点です。ただし、せん断速度を自由に変えられないため、非ニュートン流体の詳細解析には限界があります。精密なセンサーを備える必要があるため、装置が高価になりやすい点も注意が必要です。

2-3. キャピラリーレオメーター

キャピラリーレオメーターは、サンプルをシリンダーに充填し、ピストンでキャピラリー管から押し出す際の圧力と流速を解析して粘度や流動特性を測定する方式です。溶融ポリマーやゴムのような高粘度材料の評価に適しており、実際の加工環境に近い条件で測定できます。

また、微量のサンプルで測定できるため、高価な試料にも利用が可能です。ただし、高精度の圧力センサーや専用ノズルが必要で、装置は高額になる傾向にあります。また、低粘度試料の評価には不向きである点もデメリットとして挙げられるでしょう。

2-4. テクスチャーアナライザー

テクスチャーアナライザーは、食品や化粧品、医薬品などのサンプルに圧縮・引張り・曲げといった力を加え、力と変形量の関係を解析することで物理的特性を数値化する装置です。食品分野では、固さや弾力、粘りといった「食感」を定量的に評価できるため、品質管理や商品開発に貢献しています。

多様な形状や性質のサンプルに対応可能で、温度や湿度を制御しながら物性評価を実環境に近い条件で行えます。ただし、比較的大量のサンプルが必要となる場合があり、測定に時間がかかることで試料の性質が変化してしまうリスクも存在します。

3. 音叉振動式レオメーター「RV-10000A」の特長・製品仕様

音叉振動式レオメーター「RV-10000A」は、株式会社エー・アンド・デイが提供する高精度な測定器です。小型で扱いやすく、試料の温度変化や粘度変化に素早く応答できます。ここからは、その具体的な特長や製品仕様について解説します。

3-1. 特長

音叉振動式レオメーター「RV-10000A」は、0.3mPa・s~25,000mPa・sの広範囲を、振動子の交換なしで連続測定できる点が特長です。フルレンジ繰り返し性1%という高精度を誇り、非ニュートン流体や気泡を含む試料も安定して測定できます。振動子は耐食性に優れたチタン製で、温度センサーを標準装備しているため、温度と粘度の関係を正確に把握できます。

また、振動子の振幅量を0.07mmから1.2mmの範囲で無段階に制御でき、シアレート変化に応じた粘度挙動を自動測定できるのも強みです。撹拌中や流動中の試料でも測定できることから、実験室から生産ラインまで幅広く対応します。校正用標準液やワンタッチ校正機能付きで、簡単に校正が可能です。

3-2. 製品仕様

音叉振動式レオメーター「RV-10000A」は、固有振動数30Hzの音叉振動式を採用し、振幅0.07~1.2mmの範囲で制御できます。粘度測定範囲は振幅条件により異なり、最小0.3mPa・sから最大25,000mPa・sまでをカバーします。試料温度は0~160℃を0.1℃単位で表示でき、動作周囲温度は10~40℃に対応しており、試料量は10mL以上で測定が可能です。

測定精度は繰り返し性1%、確度±3%(1~1,000mPa・s、振幅0.4mm時)と高精度を実現しています。付属品には専用コントローラや複数種類のサンプル容器、循環水ジャケット、データ通信ソフト、除振台などが含まれ、研究室から生産現場まで幅広く利用できる実用性を備えています。

まとめ

音叉振動式レオメーターは、試料中の振動子の応答から粘度を求める方式です。温度との相関を正確に把握できる点や、少量試料でも迅速かつ安定した測定が可能な点が大きな強みです。

その中でも「RV-10000A」は、広範囲の粘度測定レンジや高い再現性、撹拌中や流動中の試料も評価できる柔軟性を備え、研究から生産現場まで幅広く対応できます。自社の試料特性や測定環境に適した機器を導入することで、品質管理や製品開発の精度が高まれば、業務効率の向上にもつながるでしょう。

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