COLUMN製品コラム

表面改質度合測定装置とは?Caisitsの原理と対象の表面処理も

Caisits

表面改質の状態を正確に管理できず、工程ごとのばらつきや不良発生に悩まされている方は多いでしょう。プラズマ処理やコロナ処理、メッキ処理などは外観では判別が難しく、従来の抜き取り検査や試験機による評価だけでは品質を安定させにくいのが実情です。こうした課題を解決する手段の1つが、表面改質度合測定装置です。

当記事では、代表的な表面改質度合測定装置である「表面改質センサー Caisits」の測定原理や用途、表面改質の必要性、各種表面処理の詳細について分かりやすく解説します。表面改質工程の可視化を進めたい方は、参考にしてください。

目次

1. 表面改質度合測定装置「表面改質センサー Caisits」とは
1-1. 測定原理
1-2. 用途

2. 表面改質度合測定装置「表面改質センサー Caisits」が測定する「表面改質」の必要性

3. 表面改質度合測定装置「表面改質センサー Caisits」の測定対象となる主な表面処理
3-1. プラズマ処理
3-2. コロナ処理
3-3. フレーム処理
3-4. メッキ処理

4. 表面改質度合測定装置「表面改質センサー Caisits」の特長・仕様

まとめ

1. 表面改質度合測定装置「表面改質センサー Caisits」とは

「表面改質センサー Caisits」は、アクロエッジが提供する表面改質度合測定器で、プラズマ処理やコロナ処理などの表面改質処理レベルをリアルタイムに可視化できる評価システムです。インラインでの全数表面改質検査を可能にし、品質向上と生産効率化に貢献します。

1-1. 測定原理

「表面改質センサー Caisits」の測定原理は、表面に照射した微弱な紫外線によって生じる蛍光量を測定し、改質状態を定量的に評価する方法です。まず、プラズマ処理やコロナ処理などで改質された素材表面に励起光(紫外線)を照射すると、表面から蛍光が放射されます。

「表面改質センサー Caisits」は、この蛍光量を高感度で検出することで、改質の有無だけでなく、その度合いまで数値として判定します。担当者の経験に左右されず、精密測定機器として安定した評価が可能なため、従来の濡れ性確認や試薬を用いた方法よりも迅速で再現性の高い品質管理を実現できる点が特長です。

1-2. 用途

「表面改質センサー Caisits」は、改質度合の確認にとどまらず、製造現場のさまざまな工程で活用できる検査装置です。プラズマ処理やコロナ処理などの表面改質後の状態を定量的に評価・解析できるため、接着・印刷・コーティング前の品質確認に役立ちます。

また、電子基板や部材に残る油膜や汚れの検出、洗浄後の確認、はがれ検査にも有効で、従来は目視や経験に頼りがちだった工程を客観的に管理できます。有機ELや液晶ディスプレイ、高機能フィルム、半導体製造などの前処理・後処理工程でも活用が進んでおり、自動車軽量化に向けた各部材の表面検査でも注目を集めています。

2. 表面改質度合測定装置「表面改質センサー Caisits」が測定する「表面改質」の必要性

表面改質が必要となる理由は、素材そのものの性能だけでは実現できない「接着性・印刷適性・膜の均質性」を確保するためです。特にプラスチックフィルムのような高分子材料は、表面が化学的に安定しており、未処理の状態ではインクや接着剤が十分に密着しません。そのため、プラズマ処理やコロナ処理などによって表面を活性化し、濡れ性や密着性を向上させる工程が必要です。
包装用フィルムの印刷前処理、多層フィルムの貼り合わせ、液晶ディスプレイ部材の均質化工程など、幅広い製造分野で表面改質が品質を左右します。改質度合を適切に管理することで、製品の信頼性向上や不良削減につながるため、計測機器による表面状態の定量的な測定は重要な品質管理項目となっています。

3. 表面改質度合測定装置「表面改質センサー Caisits」の測定対象となる主な表面処理

「表面改質センサー Caisits」は、さまざまな表面処理に対応して改質度合を定量的に評価できる機器です。ここでは、代表的なプラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理、メッキ処理について分かりやすく解説します。

3-1. プラズマ処理

プラズマ処理は、素材表面に親水性や接着性を付与するために広く利用される代表的な表面改質技術です。電気エネルギーによって気体をプラズマ化し、生成された活性種が素材に作用することで、表面の官能基付与や汚れ除去が可能になります。

一般的には、大気圧プラズマ処理と真空プラズマ処理の2種類があります。大気圧では生産ラインへの導入が容易なガス照射型や放電処理型が用いられます。ガス照射型は熱・電気ダメージが少なく、複雑形状の部品にも対応できる点が特長です。一方、放電処理型は大面積を均一に処理でき、フィルムの親水化工程などで活用されています。

真空プラズマ処理では活性種が基材表面へ到達しやすく、エッチング効果や高い表面均質性が得られるため、医療・電子分野の精密用途でも使用されています。

3-2. コロナ処理

コロナ処理は、フィルムやシートなどの樹脂表面に極性官能基を付与し、濡れ性や密着性を高めるための代表的な表面改質技術です。高周波・高電圧を電極間に印加することでコロナ放電が発生し、その際に生成したラジカルやイオンが素材表面に作用して改質が進みます。加工の中心となるのは薄いフィルムやシートですが、特殊形状の電極を用いれば厚物素材にも対応可能です。

安価で大面積処理が行える点がメリットで、印刷前処理やコーティング、貼り合わせ工程などで広く利用されています。一方、コロナ処理ではオゾンが発生するため、排気設備が必要です。また、放電が不安定な場合は処理効果にばらつきが生じることもあります。樹脂フィルムの親水性向上や紙の印字前処理、金属箔の油膜除去など、コロナ処理の用途は多岐にわたります。

3-3. フレーム処理

フレーム処理は、樹脂や金属の表面に親水性を付与し、印刷・塗装・コーティング・接着などの工程で密着性を高めるために用いられる表面改質技術です。ガスバーナーで燃焼した炎中には高エネルギーの活性種が生成され、空気中の酸素がラジカル化します。この酸素ラジカルを素材表面に接触させることで、表面に官能基が付与され、濡れ性が向上します。

フレーム処理は高速で広い範囲を処理できる点がメリットで、大型樹脂部品や三次元形状の前処理にも適しています。一方で、裸火を使用するため安全対策が必要であり、熱による変形の恐れがある素材には注意が求められます。塗装前処理、フィルムのコーティングやラミネート、接着工程の前処理など、幅広い製造プロセスで活用されています。

3-4. メッキ処理

メッキ処理は、基材表面に薄い金属皮膜を形成し、装飾性・耐食性・機能性を向上させるための代表的な表面処理技術です。均一な膜厚を得やすく、複雑形状にも対応できることから、電子部品から自動車部材まで幅広い分野で活用されています。メッキの目的は主に、光沢を付与する装飾性、腐食を防ぐ耐食性、導電性やはんだ濡れ性などの機能性付与に分類されます。
方法としては、物理蒸着や化学蒸着といった乾式メッキ、電気メッキや無電解メッキなどの湿式メッキがあり、用途や基材特性によって使い分けられます。特に無電解メッキは樹脂などの不導体にも適用でき、電気メッキの前処理としても利用されます。前後工程の多さや設備コストなどの課題もありますが、必要な性能を効率的に付与できる表面処理の一種です。

4. 表面改質度合測定装置「表面改質センサー Caisits」の特長・仕様

「表面改質センサー Caisits」は、プラズマ処理やコロナ処理、フレーム処理、メッキ処理などで生じる表面改質の度合いをリアルタイムに可視化し、インラインでの全数検査を可能にする評価装置です。非接触・非破壊で計測できるため製品を傷つける心配がなく、従来比10倍の高感度により処理前後のわずかな差異も判別できます。

これにより、品質の安定化と製造効率の向上を同時に実現します。装置はコントローラ(160×230×88mm、質量1500g)とセンサー(72×104×126mm、質量920g)で構成され、85~264VのAC電源に対応が可能です。生産ラインへの組み込みや装置周辺への設置にも適したコンパクト設計となっています。

表面改質センサー Caisitsの詳細はこちら

まとめ

表面改質の状態を正確に把握することは、製造品質の安定化や不良発生の抑制に直結します。「表面改質センサー Caisits」は、プラズマ処理やコロナ処理、フレーム処理、メッキ処理に対応し、改質度合いをリアルタイムで判定できる点が大きな強みです。

非接触・非破壊で全数検査を行えるため、従来の目視や抜き取り検査では見逃しがちな表面状態の差異も捉えられ、品質向上と製造効率の両立が実現します。生産ラインでの品質管理をより確かなものにしたい場合は、「表面改質センサー Caisits」の導入をぜひ検討してみてください。アズサイエンスでは、随時お問い合わせを受け付けております。

ご注文前のご相談やお見積り、資料請求など
お気軽にお問い合わせください。

PAGE
TOP