COLUMN製品コラム
樹脂硬化収縮率応力測定装置とは?反りや剥がれを防ぐ測定技術

樹脂を用いた接着やコーティング、電子部品の製造現場で、「硬化後に反りが出る」「接着部が剥がれる」「条件を変えても原因がはっきりしない」などの現象が起きることがあるでしょう。こうした不具合の多くは、樹脂が硬化する過程で生じる体積収縮や内部応力が関係しています。
当記事では、樹脂硬化収縮率応力測定装置を用いて、硬化プロセスを連続的に可視化する評価技術を解説します。測定原理やJIS規格に基づく信頼性、熱硬化樹脂・UV硬化樹脂の測定事例を通じて、硬化条件最適化のヒントを整理します。
1. 樹脂硬化収縮率応力測定装置とは
樹脂硬化収縮率応力測定装置とは、樹脂が硬化する過程で生じる体積収縮量と内部応力を定量的に評価する装置です。UV照射や加熱による硬化時の収縮挙動を把握することで、剥離や反り、割れといった不具合の原因を明確にし、硬化条件の最適化や製品信頼性の向上に役立てることができます。
1-1. 硬化収縮と内部応力のメカニズム(なぜ樹脂は縮むのか?)
樹脂が液体から固体へと硬化する際には、主に2つの段階で収縮が生じます。まず1つ目が、化学反応によって分子同士が結合し、架橋構造が形成されることで体積が減少する反応収縮です。次に、加熱硬化や反応熱によって高温となった樹脂が、常温まで冷却される過程で熱収縮が生じます。
これら2つの収縮過程を経て、硬化後の樹脂は硬化前の液体状態よりも小さな体積となり、この現象を硬化収縮と呼びます。さらに、収縮が周囲の拘束を受けると、変形しきれない力が内部に蓄積されます。これが内部応力であり、ばねの伸びと力が比例関係にある弾性変形と同様に、応力とひずみの関係として説明できます。
1-2. 硬化収縮が引き起こすトラブル(反り・剥がれ・クラック)
樹脂が硬化する際に生じる体積収縮や内部応力は、製品品質に直結するさまざまな不具合を引き起こす要因となります。たとえば、電子部品や精密部材の固定に用いられる接着剤では、硬化収縮によって部材同士の寸法差や応力集中が生じ、反りや剥がれ、クラック(割れ)といったトラブルが発生しやすくなります。エポキシ樹脂は化学的・物理的特性に優れ、幅広く使用されていますが、数%程度の硬化収縮でも内部応力は無視できません。
また、成形品では収縮率を考慮して金型寸法を補正する必要があり、精密な寸法管理が不可欠です。硬化収縮率や収縮応力を正確に把握することは、不具合の未然防止だけでなく、材料設計や製品信頼性の向上につながります。
2. 樹脂硬化収縮の測定方法
樹脂硬化収縮の測定方法には従来から用いられてきた手法と、硬化プロセスを連続的に捉えられる新しい手法があります。ここでは、それぞれの測定方法の特徴や違いを整理し、評価手法の選定ポイントを解説します。
2-1. 従来の方法:比重測定法(ピクノメーター)とその課題
比重測定法(ピクノメーター法)は、硬化収縮率を求めるために従来から用いられてきた評価手法です。ビニルエステル樹脂などでは、硬化前の液体と硬化後の固体それぞれの比重を測定し、その差から収縮率を算出します。
測定には台秤やピクノメーターを用い、試料や水、装置を一定温度条件下で管理しながら、複数回の秤量と計算を行う必要があります。体積を正確に規定できる一方で、操作が煩雑で測定に時間を要し、誤差が生じやすい点が課題です。また、硬化前後を個別に測定するため、硬化途中の体積変化や応力の発生状況を把握できず、最終結果しか得られない点も大きな制約と言えます。
2-2. 最新の方法:収縮率連続測定法(レーザー変位計+ロードセル)
収縮率連続測定法は、樹脂の硬化過程で起こる収縮挙動と応力発生を、リアルタイムかつ連続的に捉えられる測定手法です。測定では、ガラス板とテフロンリングで構成されたサンプル容器に樹脂を充填し、UV照射や加熱などの所定の硬化条件下で評価を行います。硬化の進行に伴う体積変化は、試料の厚み変化としてレーザー変位計で連続測定され、時間経過に対する硬化収縮率を求めることが可能です。
さらに、検出器をロードセルに切り替えることで、硬化中に樹脂が周囲に拘束されながら発生させる力を測定し、収縮応力として定量化できます。この方法により、従来は把握できなかった硬化プロセス中の挙動を可視化できます。
2-3. JIS規格(JIS K 6941)について
収縮率連続測定法は、評価手法としての信頼性の高さから、2019年2月に日本産業規格「JIS K 6941」として制定されました。本規格では、樹脂の硬化状態を連続的に測定し、硬化収縮率を求める方法が正式に定義されています。これにより、測定条件や評価基準が統一され、材料開発や品質評価、研究用途においても客観性と再現性の高いデータ取得が可能となりました。
3. 熱硬化性樹脂・UV硬化樹脂の測定事例
収縮率連続測定法を用いることで、熱硬化性樹脂やUV硬化樹脂が硬化する過程における収縮挙動や応力発生の違いを具体的に把握できます。ここでは、代表的な測定事例を通して、硬化条件の違いが測定結果にどのような影響を与えるのかを紹介します。
3-1. 熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂など)の測定挙動
熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂は、加熱・保持・冷却という硬化プロセスの中で、体積挙動が変化します。常温の液体状態から加熱される過程では、温度上昇に伴い一時的に熱膨張が生じ、その後、硬化反応が進行する保持工程において、架橋構造の形成による硬化収縮が発生します。
反応完了後は冷却工程に移り、ガラス転移温度(Tg)を境に、ゴム状領域からガラス状領域へ移行しながら熱収縮が進行します。硬化温度がTgより高い条件では、架橋点密度の高い構造が形成され、短時間で硬化が完了する一方、収縮応力が大きくなり、残留応力が発生しやすくなる傾向があります。
3-2. UV硬化樹脂(紫外線硬化型)の測定挙動
UV硬化樹脂は、紫外線エネルギーを受けることで短時間に硬化する材料ですが、その硬化条件によって収縮挙動や応力発生の様子は変化します。測定事例として、UV硬化型エポキシ樹脂接着剤を用い、照度と照射時間を変化させて比較した結果、硬化収縮率はいずれの条件でも約4.2~4.8%と同程度でした。一方で、硬化収縮応力は0.023~0.059 N/mm²と2倍以上の差が生じています。
これは、積算光量が同一であっても、照度と照射時間の組み合わせにより硬化反応の進み方や拘束状態が異なるためと考えられます。このように、収縮率だけでは把握できない応力差が製品の反りや割れ、接着不良につながる可能性があり、UV硬化条件の最適化には応力評価が重要です。
4. 樹脂硬化収縮率応力測定装置「Custron」の特長・仕様
樹脂硬化収縮率応力測定装置「Custron」は、反応性樹脂が硬化する前・中・後の全過程における体積変化と収縮応力を連続的に測定できる機器です。接着剤やコーティング剤などの性能向上や品質安定化には、接着強度などの物性評価に加え、硬化状態を把握する評価が欠かせません。
Custronは、UV硬化樹脂や熱硬化樹脂、エポキシ樹脂、UV接着剤、インク、ワックスなど幅広い材料に対応し、少量サンプル(約1cc)で測定が可能です。また、UV照射・加熱・冷却を組み合わせたヒートサイクルをプログラム設定でき、製造工程や使用環境を再現した処理条件での評価が行えます。特殊な測定技術を必要とせず、実用的なデータ取得に適した装置です。
まとめ
樹脂の硬化過程では、反応収縮や熱収縮によって体積変化と内部応力が発生し、それが反りや剥がれ、クラックなどの不具合につながります。従来の比重測定法では最終的な収縮量しか把握できず、硬化途中の挙動や応力発生を評価できない点が課題でした。一方、収縮率連続測定法は、硬化前から硬化後までの収縮率を連続的に可視化でき、JIS K 6941として規格化された信頼性の高い評価手法です。
硬化条件の最適化や不具合低減を目指すなら、プロセス全体を正確に把握できる測定装置を導入し、設計や材料選定にデータを活用することが、製品信頼性の向上と開発効率の改善につながります。アズサイエンスでは樹脂硬化収縮率応力測定装置も取り扱っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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