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CNC三次元測定機とは?用途・使用目的や原理と仕様などの基礎知識

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CNC三次元測定機は、現代の製造業や設計業務において不可欠な存在となっています。この技術は、物体の三次元形状を高精度で測定するために使用され、製品の品質管理や設計の確認に大きな役割を果たしています。1950年代後半から開発が進み、現在では自動車、航空宇宙、医療機器など多岐にわたる分野で利用されています。

当記事では、CNC三次元測定機の基本的な構造や測定原理、具体的な用途、そしてその性能指標について詳しく解説します。CNC三次元測定機を理解し、その導入や運用を検討する際の参考にしてください。

目次

1. CNC三次元測定機とは?基礎知識を身につけよう
1-1. CNC三次元測定機の歴史と発展
1-2. 基本構造と機能

2. CNC三次元測定機の用途

3. CNC三次元測定機の原理と仕様
3-1. 測定原理の基本
3-2. 各種測定技術の比較
3-3. 主要な仕様と性能指標

4. CNC三次元測定機の使用目的
4-1. 品質管理
4-2. 製品開発
4-3. 生産効率向上

まとめ

1. CNC三次元測定機とは?基礎知識を身につけよう

CNC三次元測定機とは、コンピュータ数値制御(CNC)技術を利用して、物体の三次元形状を測定する装置のことです。コンピュータで装置を数値制御することで作業が自動化されるのにくわえ、精度の高い測定が行えます。

CNC三次元測定機は、主に工業製品の品質管理や設計に使用される装置です。製品の長さや幅、高さのほか、角度・曲率などの対象物の輪郭を把握するための複雑な項目も測定できます。さまざまな項目を測定できるこの技術をうまく活用すると、製品の品質保証や製造プロセスの改善を図るのに役立ちます。

1-1. CNC三次元測定機の歴史と発展

CNC三次元測定機は、機械加工の発展とともに進化してきた機械です。誕生は1950年代後半から1960年代のはじめと言われており、日本国内では1969年に東京精密によって初めて製造されました。

三次元測定機はもともと手動で操作されていた機械です。技術の進歩により自動化が進み、自動測定が可能となった歴史があります。自動化により、現在では高速かつ高精度の測定が可能です。

また、初期の三次元測定機は主に航空宇宙産業などで使用されていました。その後、技術の発展や自動測定の広まりに伴い、三次元測定機の活躍の幅は徐々に広がっています。たとえば、自動車や電子機器、医療機器などの多くの分野に普及しており、今後も需要の高まりが予想されています。

1-2. 基本構造と機能

CNC三次元測定機は、主にデータ処理装置やプローブ、三次元測定機本体のほか、除振台とも呼ばれる設置台などで構成されている機械です。機械部品にはX・Y・Zの三軸に沿って移動するアームも付いており、プローブが測定対象物に触れることで正確な位置情報を取得します。

位置情報はコンピュータに送信され、専用のソフトウェアで解析が行われます。さらに自動計算によって対象物の三次元モデルが作成されることで、詳細な寸法や形状が把握できる仕組みです。

2. CNC三次元測定機の用途

CNC三次元測定機は特定の場面に限らず、下記のようなさまざまな分野や業界で使用されています。

・製造業での用途
製造業においてCNC三次元測定機は、品質管理や製品検査に欠かせない存在です。たとえば、複雑な形状でほかの測定機では測定が困難な自動車部品の寸法検査や、航空機エンジンなどの大型部品の検査に使用されています。詳細な寸法の把握は、製品の精度を保証したり不良品の発生を防いだりするのに効果的です。

・医療分野での用途
医療分野では、義肢やインプラントの設計に利用されています。いずれも患者の身体に合う正確な形状が必要な器具で、緻密な設計が欠かせません。設計に活用される三次元測定機は、医療用器具製造のための慎重な測定を行い、最適な治療を提供するために重要な役割を果たしていると言える存在です。医療機器の品質管理にも使用されており、高度医療技術の発展に貢献しています。

・自動車産業での用途
自動車産業では車両部品の設計や製造において重要な、製品の精度と信頼性を確保する役割を担っています。たとえば、三次元測定機が使用されるのはエンジン部品のほか、シャーシと呼ばれる車体を支える骨組み部分などの測定です。どちらも自動車の安全な走行に欠かせない存在で、製造には高精度の寸法・形状の把握が求められます。人の力のみで行うと多くの時間や人手を要する作業ですが、三次元測定機を活用すると製造プロセスの効率化とコスト削減の実現が見込めます。

3. CNC三次元測定機の原理と仕様

CNC三次元測定機には、装置の構造や搭載している機能などの違いにより、複数の測定技術が存在します。測定技術ごとに測定できる範囲や測定値に与える影響が異なるため、詳細を把握しておきましょう。

CNC三次元測定機の基本的な原理・仕様と、測定技術の詳細は以下の通りです。

3-1. 測定原理の基本

CNC三次元測定機は、プローブと呼ばれる針状の部品を測定対象に当てて位置情報を取得します。位置情報は三次元空間における座標(点の集合体)として取得され、その取得データを解析することで対象物の正確な寸法や形状を把握できる仕組みです。プローブには複数の種類があり、対象物に直接接触して測定するタッチプローブのほかに、対象物に触れずに測定する非接触式のレーザープローブなどがあります。

3-2. 各種測定技術の比較

CNC三次元測定機にはタッチプローブやレーザープローブ、光学プローブなどのさまざまな測定技術が存在します。それぞれ機能や測定時に発揮する性能が異なるなど、測定技術によって違いがある点に注意しましょう。

たとえば、タッチプローブは高精度の測定が期待できる技術ですが、測定に時間がかかるのが欠点と言われています。一方で、レーザープローブは高速測定が可能な技術です。しかし、光を用いて測定するため、対象物の表面の反射率に影響を受けやすい特徴があります。

測定技術ごとで測定に要する時間の違いや、測定値への影響がある点を把握しておき、導入の際は用途に応じて適切な測定技術を選択するのが重要です。

3-3. 主要な仕様と性能指標

CNC三次元測定機の性能を評価する指標には、測定の精度や範囲、測定速度などがあります。たとえば、高い精度で測定できる装置は、ミクロン単位でのデータ取得が可能です。緻密な設計をしたり、初心者でも正確な測定をしたりするのに役立ちます。また、測定範囲が広い装置であれば大型の部品や製品の測定ができ、高速測定ができる装置ほど生産効率の向上が期待できるのが特徴です。

4. CNC三次元測定機の使用目的

CNC三次元測定機がどのような場面で活用できるか判断するには、主な使用目的を把握するのがおすすめです。自社の業務でCNC三次元測定機が活躍するかどうか、導入を検討する材料として役立ちます。

CNC三次元測定機の使用目的として挙げられるのは、主に以下の3つです。

4-1. 品質管理

CNC三次元測定機は、品質管理における重要なツールです。製品の寸法や形状を正確に測定できるため、不良品の発生防止につなげられます。事前の設定をするだけで、測定者の違いによって測定値がバラつくのを避けられるのもポイントです。製品の品質保証に役立ち、顧客満足度の向上と信頼性の確保が見込めます。

4-2. 製品開発

製品開発において、CNC三次元測定機は設計の確認やプロトタイプの評価に使用されます。特に新製品の開発過程では、設計図通りに製作されているかを確認するのに欠かせません。

CNC三次元測定機でプロトタイプの寸法や形状を測定すると、設計の改良点を見つけられるのもポイントです。後に大きな欠陥として判明するのを防いだり、開発段階でのエラーを最小限に抑えたりするのに役立ちます。

4-3. 生産効率向上

CNC三次元測定機を使用すると、生産工程の効率化が図れます。自動化された測定プロセスによって、手作業での測定時間が削減されるのが理由です。測定ツールをいくつも用意する必要がなく、作業者の負担軽減も見込めます。くわえて、測定精度の高さにより製品の再加工を繰り返す頻度を少なくできるため、生産コストの削減も期待できます。

まとめ

CNC三次元測定機は、製造業や設計業務において非常に重要なツールです。その高い測定精度と自動化されたプロセスにより、品質管理や製品開発、生産効率の向上に貢献します。特に、複雑な形状を持つ部品や高い精度が求められる製品の検査において、その真価を発揮します。

基本的な構造や測定技術、具体的な用途を踏まえ、CNC三次元測定機の導入を検討することで、より高品質な製品の提供と効率的な生産プロセスの実現が可能となるでしょう。

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