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超純水製造装置とは?超純水と純水の違いや精製方法も詳しく解説

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超純水とは、純水をさらに精製し、あらゆる不純物を取り除いた非常に高純度な水を指します。超純水は高い純度を持つことから、半導体製造や医療・研究分野、産業分野などで広く使用されています。超純水を精製するためには、多種多様な精製方法を組み合わせる必要があります

当記事では、超純水と純水の違い、超純水の具体的な利用場面、そしてその製造方法について詳しく解説します。

目次

1. 超純水とは?
1-1. 超純水と純水の違い
1‐2. 超純水が使われる場面

2. 超純水製造装置とは?

3. 超純水の精製方法は?
3‐1. 前処理カートリッジ
3‐2. 逆浸透膜
3-3. 有機物分解用紫外線ランプ
3‐4. 超純水イオン交換樹脂
3‐5. 最終フィルター

まとめ

1. 超純水とは?

超純水とは、純水をさらに精製し、固形物はもちろん塩類やガスといった不純物まで取り除いた、高純度の水のことです。純水よりも不純物がより少ない状態で、H2Oに限りなく近づけた水を指します。

超純水と純水の詳しい違いや、超純水が使用される場面は以下の通りです。

1-1. 超純水と純水の違い

超純水と純水は、どちらも明確な定義がありません。一般的には電気の通りにくさを表す電気抵抗率の「MΩ・cm」を基準として、それぞれ区別されています。電気抵抗率で見る水質は、不純物が少ないほど電気が流れにくく、抵抗率を表す数字が大きくなるのが特徴です。

超純水と純水の電気抵抗率は、下記を参考にしてください。

超純水:18MΩ・cm
純水:0.1~1.5MΩ・cm

純水は、精製方法が1つに限定されていません。蒸留水やイオン交換、RO水とも呼ばれる逆浸透水などが主な精製方法で、それぞれ精製方法によって純水の水質は異なります。超純水は、純水をさらに精製し不純物を限りなく取り除いている状態であり、電気抵抗率は超純水のほうが大きくなります。

1‐2. 超純水が使われる場面

超純水の用途は広く、さまざまな場面で活躍している存在です。たとえば、下記のような分野で超純水は使用されています。

半導体分野 水に含まれる不純物が半導体に付着すると、半導体製品の性能を劣化させると言われています。安定した品質確保のため、半導体製造では超純水が欠かせません。特にチップや微細な回路の製造のほか、洗浄工程などにおいて超純水が必要です。
医療・研究分野医療分野では、規模を問わずさまざまな病院で、注射用水や医薬品の製造に超純水が使用されています。化学や生物など、領域を限定せず研究施設に導入されているのも珍しくありません。研究分野では、主に実験に用いる液の調製や分析用のブランク水として使用されています。
産業分超純水は、食品や自動車産業などの分野でも欠かせない存在です。たとえば、自動車産業では洗車用の水として使用されています。超純水を洗車に用いることで汚れを落としやすくなったり、洗車後に水跡が残りにくくなったりする効果が期待できます。

2. 超純水製造装置とは?

超純水製造装置とは、名前の通り超純水を得るために用いられる装置です。純水・超純水の精製方法を組み合わせた装置で、いくつかの工程を経て超純水を精製します。

超純水製造装置には、既存の技術から最新技術まで、さまざまな手法が用いられているのが特徴です。大きく下記の3つの工程とシステムによって超純水を精製します。

  • 前処理システム
  • 一次純水製造システム
  • サブシステム(ポリッシングシステム)

前処理システムでは、工業用水や井戸水といった原水に含まれる微粒子の除去を行います。続いて、一次純水製造システムでは、イオンや二酸化ケイ素などの成分の多くが取り除かれます。電気抵抗率が10MΩ・cm以上、場合によっては17.5MΩ・cm以上と超純水に近くなるケースもある段階です。

最後のサブシステム(ポリッシングシステム)では、一次純水製造システムで残った不純物を除去します。くわえて、装置を構成する部材から溶け出したイオンなども取り除く工程です。超純水の精製を完了させる最終的な安全装置としての役割をもっています。

3. 超純水の精製方法は?

超純水は、純水をさらに精製して作られる水のことです。そもそも純水として水を精製するにはいくつかの方法があり、複数の純水製造装置が存在します。純水製造装置は、種類によってその仕組みや原理と、精製する純水の水質が異なる点に注意が必要です。

下記リンクでは純水製造装置について詳細を解説しているため、導入を検討する際は参考にしてみてください。

(内部リンク:「純水製造装置とは」)

超純水を精製するには、純水にするための工程を経た後、以下に挙げるような5つの方法を実施する必要があります。

3‐1. 前処理カートリッジ

前処理カートリッジは、超純水製造装置を構成する一部です。製品によっては、原水を1MΩ・cm以上に精製できます。前処理カートリッジ内には、イオン交換樹脂と活性炭が含まれています。それぞれ原水中のイオンと有機物の除去に必要で、超純水製造装置に欠かせない存在です。

ただし、装置内のイオン交換樹脂と活性炭が劣化すると、超純水が精製できなくなる点に注意が必要です。劣化する前に定期的にカートリッジを交換することで、超純水をスムーズに精製するのに役立ちます。

3‐2. 逆浸透膜

逆浸透膜は、緻密なフィルターを用いて原水をろ過し精製する方法です。主に無機物や有機物、微粒子のほか微生物といった不純物の多くを取り除けます。

逆浸透膜は、逆浸透現象を水処理に応用しているのが特徴です。不純物を含む原水に0.4~1.2Mpaの圧力をかけて、逆浸透膜を挟んだ反対側に通過させます。原水に圧力をかけて膜を通過させることで、不純物とそれを除去した水を分けるように精製する仕組みです。

逆浸透膜だけでは、超純水が精製できない点に注意しなければなりません。より不純物を取り除いた超純水を得るには、逆浸透膜の後にさらなる精製工程が必要です。

3-3. 有機物分解用紫外線ランプ

精製後、純水となった水の中にも一定の微生物が存在します。室温程度の水温で増殖する微生物もゼロではありません。そこで、純水中の微生物の増殖抑制を目的に用いられるのが、有機物分解用紫外線ランプです。

有機物分解用紫外線ランプは、紫外線によって有機物を分解する装置です。紫外線を照射することで有機物を二酸化炭素まで分解し、水に溶ける炭酸イオンなどに変化させます。純水を無菌に近い状態に精製でき、後のイオン交換樹脂などの工程を経ると、超純水として採水が可能です。

3‐4. 超純水イオン交換樹脂

超純水イオン交換樹脂は、水中に含まれる陽イオンと陰イオンを利用して精製する方法です。それぞれのイオンを、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂に接触させて交換樹脂の中に閉じ込めます。交換樹脂の中に閉じ込められたイオンは、水素イオンと水酸化物イオンになった後、互いが反応し合い最終的に水に変化します。

超純水イオン交換樹脂を利用すると、水中のイオンを限りなく除去できるのが特徴です。比較的簡単に超純水を精製できる方法と言われています。

3‐5. 最終フィルター

最終フィルターは、超純水製造装置の中でも、終盤の工程を施すために取り付けられている部材です。イオン交換樹脂を通過した水の中に含まれる、微粒子や微生物などの不純物を除去する役割をもっています。くわえて、装置外部の空気中に含まれる不純物によって、装置が汚染されるのを防ぐ効果も期待できます。

最終フィルターがないと、微粒子や微生物などが超純水に混ざる可能性が否定できません。超純水に仕上げるために、最終フィルターは欠かせない存在です。

最終フィルターは複数の種類があり、用途によって使い分けるとより使用目的にあった水質の超純水を採水できます。微粒子や微生物などの除去に限らず、よりフィルターの目が細かい種類を選べば、分子の大きさごとで不純物を取り除くことも可能です。

まとめ

超純水は不純物の少なさから、半導体や医療・研究分野をはじめとするさまざまな分野で欠かせない存在となっています。半導体製造においては、微細な回路やチップの洗浄工程で不可欠であり、医療分野では高品質な注射用水や医薬品の製造に利用されています。

超純水の製造には、前処理システム、一次純水製造システム、サブシステムといった複数の工程が必要であり、それぞれが高度な技術と精密な管理を要求されます。超純水製造装置を導入する際は、どのような方法で超純水を精製しているかを確認しましょう。

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