COLUMN製品コラム
超低温フリーザーとは?仕組みや用途・使用の際の注意点を解説

超低温フリーザーは、約-40~-80℃の温度帯で物体を冷凍保存するための装置です。医療現場の検体管理、製薬の試薬保管、食品の鮮度維持、生物学研究の試料保存など、温度変化に敏感な材料を扱う分野で広く活用されています。通常の冷凍庫では実現できない温度帯で、たんぱく質の分解や脂肪の酸化を抑え、長期間にわたり品質を保つことが可能です。
当記事では、超低温フリーザーの基本的な定義や冷却の仕組み、分野別の用途、使用時の注意点、主要メーカーなどを紹介します。
| 目次 1. 超低温フリーザーとは 2. 超低温フリーザーの仕組み 3. 超低温フリーザーの主な用途 3-1. 医療 3-2. 製薬 3-3. 食品 3-4. 生物学 4. 超低温フリーザーを使用する際の注意点 5. アズサイエンスで取り扱っている超低温フリーザーのメーカー まとめ |
1. 超低温フリーザーとは
超低温フリーザーは、約-40~-80℃で物体を冷凍保存するための冷凍庫です。一般に-50℃以下を「超低温」と呼び、鮮魚や肉の品質を保ちたい現場、薬品・試薬・検体など温度管理が必要なものの保管で用いられます。温度を十分に下げると、たんぱく質の分解や脂肪の酸化が進みにくくなり、冷凍焼けによる変色や食感の劣化も抑えやすくなります。豊漁時の備蓄で食品ロス対策に役立つこともあります。
しかし、保存物ごとに適温が異なるため、目的と管理体制に合わせて設定することが大切です。庫内温度のばらつきや停電時のリスクは品質に直結します。温度記録とアラームを活用し、保冷剤や予備電源、包装の密閉などの運用を整えることが重要になります。導入前には消費電力と設置環境も確認すると安心です。
2. 超低温フリーザーの仕組み
超低温フリーザーは、圧縮機(コンプレッサー)で冷媒を圧縮し、凝縮器で放熱して液化させ、膨張弁で減圧した冷媒を蒸発器で気化させる際の吸熱で庫内を冷やします。一般的な-80℃級では、低温側と高温側の冷凍回路を組み合わせる「二段(カスケード)方式」が多く、片側に不具合が起きると目標温度を維持しにくくなりがちです。
近年は、混合冷媒の採用や熱交換器の最適化で、1台の圧縮機・1サイクルでも-80℃付近をねらう方式が登場し、構造が単純になって点検箇所を減らせる場合があります。庫内の温度ムラはファン循環や棚の配置で左右され、霜付きは性能低下の要因となるため、除霜設計や扉開閉回数の管理も重要です。断熱材、扉パッキン、温度センサーと制御、警報、停電時の保護機能などが総合的に温度安定を支えます。
また、周囲温度が高い場所や背面の放熱スペースが不足すると冷却効率が落ちるため、設置環境の条件確認も欠かせません。電源の瞬断対策や温度記録も有用です。
3. 超低温フリーザーの主な用途
超低温フリーザーの用途は、医療現場の検体保管や製薬の原料管理、食品の品質維持、生物学研究の試料保存などが代表例です。温度帯の要求が厳しい場面ほど活躍するため、以下で分野別に要点を確認します。
3-1. 医療
医療分野では、検体や血液製剤、ワクチンなど温度管理が厳しい材料の保存に超低温フリーザーが使われます。新鮮凍結血漿は-20℃以下で保管され、血清や生検組織、DNA/RNAを含む試料は-85℃前後の超低温で長期保存する運用もあります。庫内の出し入れが多い現場では、扉開閉後の温度回復時間や温度ムラも確認が必要です。
一部のmRNAワクチンは-75℃程度での保管が想定される例があり、温度逸脱が起きると有効性や検査精度に影響し得ます。用途ごとに必要温度を確認し、温度記録・警報・予備電源を整え、停電時対応や搬送時の保冷手順も決めておくことが大切です。
3-2. 製薬
製薬分野では、創薬研究や品質評価に使う細胞株、DNA・RNA、たんぱく質、参照標準品などを劣化しにくい状態で保管する目的で超低温フリーザーを導入します。DNAやRNA、酵素、抗体などは-70~-86℃前後で保存する運用が多く、一般的な試薬や中間体は-20~-30℃帯で足りる場合もあります。細胞の長期保管では-130℃以下の凍結保存(液体窒素など)を選ぶケースもあるため、目的に合う温度域を決めます。
温度変動が品質に直結するため、温度記録やアラームで逸脱を早期に検知します。停電対策や庫内整理も併せて整備し、監査対応の記録も残す必要があります。
3-3. 食品
食品分野では、微生物の増殖、酵素による分解、酸化、乾燥、果実や野菜の呼吸などが品質を変えるため、温度を下げて進行を遅らせます。一般的な冷凍保管は-18℃前後が多い一方、品質を重視する現場では-30℃以下も選択肢になります。酵素作用をほぼ止める目安は-35~-40℃です。刺身用のマグロのように変色しやすい食材は、-50℃以下の超低温帯で保管し、メト化による色落ちや風味低下を抑える運用が行われます。
微生物は冷凍で死滅しない場合があるため、解凍後の温度管理も重要です。開閉回数を抑え、密閉包装に加えて小分け保管も有効で、在庫管理にも役立ちます。
3-4. 生物学
生物学分野では、細胞株や微生物、DNA・RNA、組織片などを劣化させずに保存するため、超低温フリーザーを用いることが多いです。長期保管は-80℃前後が標準で、試料によっては-70℃程度で運用する場合もあり、短期なら-20~-30℃で足りることもあります。法医学ではDNA試料や剖検材料などの証拠を-80℃帯で保管し、分解や汚染のリスクを下げる運用です。
環境科学でも植物・昆虫・水試料を凍結保存して後日の解析に備え、解凍・再凍結を避けつつ、分注と温度記録・アラームで逸脱を早期に把握します。長期のバイオバンク構築にも有用です。
4. 超低温フリーザーを使用する際の注意点
超低温フリーザーは温度逸脱が直ちに試料の価値低下につながるため、設置と運用の基本を徹底することが大切です。過去には、医療機関で稼働停止が起き、保管温度が外れてワクチンが使用不能となった事例も報告されています。特に下記の2点に注意しましょう。
| ■専用の電源に接続する 専用ブレーカーを備えた専用回路を使い、分岐ソケットや延長コードは避けます。同一回路に消費電力の大きい機器があると、起動時の電流不足で停止や性能低下が起こり得ます。 専用コンセントでも回路共有の有無を確認しましょう。 ■常温のものを大量に入れない 一度に投入すると庫内温度が上がり、復帰まで時間がかかります。 あらかじめ予冷し、搬入は小分けにして間隔を空け、必要なら設定温度とアラーム履歴も確認しましょう。 |
また、放熱のため周囲に十分なすき間を確保し、熱を出す機器の近くは避けましょう。温度記録と点検を習慣化し、停電時の対応(保冷剤、代替保管先、予備電源など)も事前に決めておくと安心です。扉の開閉回数も最小化します。
5. アズサイエンスで取り扱っている超低温フリーザーのメーカー
アズサイエンスでは、用途や運用体制に合わせて選べる超低温フリーザーを複数メーカーから取り扱っています。代表的なメーカーは次の3社です。
| ■PHC 医療・研究向けの実績が長く、温度を細かく制御して庫内の温度ムラを抑える設計を重視します。-80℃帯でもサンプルを安定して保管しやすい点が特徴です。省エネ性や操作のしやすさに配慮した機種もそろいます。 ■日本フリーザー 低温機器の開発に強みがあり、環境に配慮したノンフロン冷媒を採用する製品も展開します。ユニバーサル電源や省エネ制御、タッチパネル、管理者機能、温度データ出力など、運用管理を助ける機能が特徴です。 ■エッペンドルフ 研究室で使う機器全体を支えるメーカーで、ラボの作業性を意識した設計が目立ちます。CryoCube F740などでは容量と効率を両立し、作業姿勢に配慮した使いやすさもねらいます。 |
導入時は設定温度域、収納量、消費電力、記録・警報、設置条件を比較し、保守体制も確認すると安心です。
まとめ
超低温フリーザーは約-40~-80℃で物体を冷凍保存する装置で、医療・製薬・食品・生物学分野で活用されます。たんぱく質分解や酸化を抑え、検体・試薬・食材の品質維持に有効です。二段圧縮方式などで庫内を冷却し、温度記録やアラーム、専用電源、予備電源の準備が重要です。
アズサイエンスではPHC、日本フリーザー、エッペンドルフの超低温フリーザーも取り扱っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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