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濁度・SS濃度計とは?濁度とSSの違いや測定原理を丁寧に解説
水質の監視や環境保全において、「濁度・SS濃度計」は欠かせない計測器です。水中の濁りや浮遊物質量を正確に測定することで、河川や工場排水の質を評価し、適切な管理や改善策を講じられます。
当記事では、濁度・SS濃度計の基本的な機能や測定原理、濁度とSS(浮遊物質量)の関係性について詳しく解説します。水質管理の現場で濁度や濃度がどのように活用できるかを理解し、環境保全や産業における水質監視の精度を向上させましょう。
目次 1. 【基礎】濁度・SS濃度計とは? 1-1. 濁度とは? 1-2. SSとは? 2. 濁度・SS濃度計の測定原理 2-1. 濁度の場合 2-2. SS濃度の場合 3. 濁度・SS濃度計に関するよくある質問 3-1. 濁度・SS濃度計と濁度計やSS計の違いは何ですか? 3-2. 濁度とSSに相関性はありますか? まとめ |
1. 【基礎】濁度・SS濃度計とは?
濁度・SS濃度計とは、水中の浮遊物や濁りの度合いを測定するための計測器です。水質の管理や浄化プロセス、河川や工場排水の監視など、幅広い用途で使用され、環境保全や産業の現場で重要な役割を果たしています。濁度とSS(浮遊物質濃度)の計測を一台で行えることから、水質の状態をより正確に把握できるのが特長です。
この濁度・SS濃度計には、携帯型や現場設置型など複数のタイプがあり、ニーズに合わせて使い分けることが大切です。
携帯型は移動が容易で、複数の場所を素早く計測したい場合に適しています。一方、現場設置型は長期的な監視が求められる場所に適しており、リアルタイムでのデータ収集が可能です。リアルタイムで計測が可能なものを選べば、異常値が検出された場合に迅速な対応が可能となり、環境保全においても大きな利便性があります。
また、フィールドでは持ち運びが可能な携帯型、実験室などではより高精度な測定を行える設置型など、目的に応じて使い分けることが必要です。
1-1. 濁度とは?
濁度とは、水中に含まれる微小な粒子や浮遊物が光の透過を妨げることで生じる水の「濁り」の程度を示す指標です。一般的には、光を使って水の透明度を測定し、その結果を濁度として表します。
濁度の単位は使用する標準液によって異なり、カオリン標準液を使用する場合は「度(カオリン)」や「mg/L」、ホルマジン標準液を使う場合は「度(ホルマジン)」や「NTU」「FTU」で表されます。
濁度は、水中の土壌や微生物、化学物質などの影響を受けるため、環境保全や水質の監視において非常に重要です。また、飲料水の基準値としても、一定の濁度以下であることが求められており、安全な水の供給のためにも濁度の計測は欠かせません。
1-2. SSとは?
SSとは、「浮遊物質量(Suspended Solids)」の略で、水に溶け切らずに浮遊している直径2mm以下の微細な粒子や固形物を指します。SSは水の透明度や質に直接影響を及ぼし、濁度と密接な関係がありますが、濁度は「水がどの程度濁っているか」を示しているのに対し、SSは「水中の不純物の量」を示します。
SSの単位は一般的に「mg/L(ミリグラム毎リットル)」で表され、この数値が高いほど水中の不純物が多いことを意味します。SSは河川や工場排水の水質基準としても用いられ、環境基準によって許容される濃度が定められています。
2. 濁度・SS濃度計の測定原理
濁度とSS濃度の測定にはそれぞれ異なる原理が用いられています。濁度の場合は光の透過や散乱を利用し、光を通した際の変化を計測して濁りを数値化します。一方、SS濃度は水中の浮遊物の質量を測定することで算出され、ろ過などを用いて直接的な数値を得る方法です。以下では、濁度とSS濃度のそれぞれの測定原理について詳しく解説します。
2-1. 濁度の場合
濁度計は、光の透過や散乱の特性を利用して水中の濁りの程度を数値化しています。
濁度計の測定原理にはいくつかの方式があり、一般的なのは光の透過と散乱を利用した方法です。LEDなどの光源と、90度の角度に配置された光検出器を用い、光源から発せられた光が液体中に入射し、そこに浮遊する微小粒子によって光が散乱される性質を利用します。散乱光を検出器がキャッチし、透過光と散乱光の比の違いによって濁度を計測します。
また、光を使う測定方法にも、光源と受光器の位置関係によっていくつかの種類があります。たとえば、透過光方式では光の透過度を直接測定し、液体の濁度を評価します。
濁度・SS濃度計では、一般的に濁度計の測定方法が採用されることが多い傾向にあります。
2-2. SS濃度の場合
SS濃度は、水中に含まれる浮遊物質の質量を直接的に測定します。一般的な方法としては、一定量の水をろ過して、ろ過膜に残った浮遊物質の質量を計測する方法と、遠心分離を用いて計測する方法があります。SS濃度が高いほど、浮遊物質が多く含まれていることが分かります。
SS濃度の測定には、比較的シンプルな装置で行えるものから、高度な分析が可能な装置まで多様なタイプがあり、利用用途や精度に応じて選択されます。SS濃度は河川や湖沼の水質管理において重要な指標であり、浮遊物の量が増加すると透明度が低下し、生態系への影響が懸念されるため、定期的なモニタリングが推奨されています。また、工場排水の排出基準を守るためにもSS濃度の管理が必須とされており、環境保全の観点からも欠かせない計測項目です。
濁度・SS濃度計の多くは手分析の後に1~数点の校正ができるため、正確性においても安心です。
3. 濁度・SS濃度計に関するよくある質問
濁度とSSは異なる測定対象ですが、密接に関連しているため、しばしば混同されることもあります。ここでは、濁度・SS濃度計と濁度計、SS計の違いや、濁度とSSの相関性について詳しく解説します。
3-1. 濁度・SS濃度計と濁度計やSS計の違いは何ですか?
濁度・SS濃度計は、濁度とSS濃度の両方を一台で測定できる計器です。
濁度計は水中の濁り具合、つまり水の透明度を測定するもので、光の透過や散乱を利用して水中の微小な粒子の量を数値化します。濁度計では、河川や飲料水の濁りを簡単に確認できるメリットがあります。一方SS計は、水中に含まれる浮遊物質の質量を測定し、水をろ過した後に残った固形物の量をmg/Lで示します。SS計は工場排水や環境基準を守るための管理に適した計器です。
通常の濁度計やSS計はそれぞれの特定項目のみを測定しますが、濁度・SS濃度計は濁度とSS濃度を同時に計測できるため、時間やコストの効率化に優れています。
たとえば、工場や環境監視の現場では、濁度とSS濃度の変化が同時にチェックできるため、水質の異常が発生した場合に早急に対応することができます。濁度・SS濃度計は、濁度計やSS計の役割が統合されており、利便性が高い計器です。
3-2. 濁度とSSに相関性はありますか?
濁度とSSにはある程度の相関性がありますが、明確な換算式はありません。濁度は水中の微小な粒子が光をどの程度散乱させるかで決まるため、粒子の数やサイズ、性質が大きく影響します。一方、SSは水中に含まれる浮遊物質の質量を示すため、粒子の総量が重視されます。濁度が高い場合でも、必ずしもSS濃度が高いとは限らず、またその逆も成り立ちます。
濁度とSSはそれぞれ別の特性を持つものとして捉え、同時に測定して水質の全体像を把握することが重要です。環境監視の現場では、濁度とSS濃度の両方を確認することで、より精度の高い水質管理が可能です。
まとめ
濁度・SS濃度計は、水中の濁りと浮遊物質量を同時に測定できるため、水質管理において非常に有用なツールです。濁度とSSは密接に関連していますが、それぞれ異なる特性を持つため、両方を測定することで水質の全体像をより正確に把握できます。
濁度・SS濃度計の測定原理や特徴を理解しておくと、環境保全や工場排水の管理など、さまざまな現場での水質監視に活用することも可能です。また、濁度計、SS濃度計を単独で使うのではなく、一台で複数の測定が可能な濁度・SS濃度計を適切に選択・運用することで、時間やコストの効率化も図れます。
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