COLUMN製品コラム
画像測定機とは?基礎知識から用途・原理・仕様・使用目的まで解説

画像測定機は、電子機器部品や医療機器部品など、精度が求められるさまざまな機器の製造プロセスや研究開発の現場において使用されています。微細な部品の精密な計測や構造の品質を管理するために不可欠であり、医療機器・バイオテクノロジー業界や製造業など幅広い分野で活躍している機器です。
当記事では、画像測定機の概要や主な用途、導入のメリット・デメリット、画像測定機を選ぶ際のポイントなどを詳しく説明します。新たな検査・測定機器の導入を検討する品質管理部門の担当者・研究開発者は、ぜひ参考にしてください。
目次 1. 画像測定機とは?基礎と原理 1-1. 画像測定機の主な用途・使用目的 2. 画像測定機を導入するメリット・デメリット 2-1. 画像測定機のメリット 2-2. 画像測定機のデメリット 3. 主な画像測定機の仕様 4. 画像測定機を選ぶ際のポイント まとめ |
1. 画像測定機とは?基礎と原理
画像測定機(画像寸法測定機)とは、画像処理技術を用いて対象物の形状や寸法を測定する検査装置のことです。
光学レンズで拡大された対象物の映像をカメラで撮像し、画像処理技術を用いて測定物のエッジ(端部)を検出します。このエッジ情報から測定対象物の正確な形状や寸法を算出することで、高精度な測定結果が得られます。
画像測定機は、数ある測定機の中で唯一測定物に触れない「非接触式・非破壊式」の測定器です。接触式では測定しきれない薄い対象物や、小物部品の測定にも適しています。対象物を測定ステージに置くだけで自動測定が可能な「自動機」と、手動でステージ移動を行う「マニュアル機」の2種類に大別されます。
1-1. 画像測定機の主な用途・使用目的
画像測定機は非接触式の測定器であることから、幅広い業界・分野のあらゆるシーンで活用されています。具体的には、以下が挙げられます。
業界・分野 | 画像測定機の活用シーン |
---|---|
医療機器・バイオテクノロジー業界 | 医療機器の部品やバイオ関連の研究における微小な対象物の形状測定・分析・外観検査 |
製造業 | 自動車部品や電子部品の開発・製造における微細な部品の寸法計測 |
半導体・電子業界 | 半導体チップや基板の開発・製造における微細な構造の計測 |
食品業界 | 食品そのものや食品の梱包材の製造における外観検査・形状測定 |
各業界で画像測定機を使用するのは、品質管理担当者や検査技術者、研究者などです。
2. 画像測定機を導入するメリット・デメリット
精度が求められるさまざまな機器の製造プロセスや研究開発の現場において、画像測定機を使用することには、多くのメリットがある一方でデメリットもあります。画像測定機を導入する前にあらかじめメリット・デメリットを把握しておけば、後悔を防げるでしょう。
ここからは、画像測定機を導入するメリット・デメリットをそれぞれ詳しく説明します。
2-1. 画像測定機のメリット
画像測定機を導入するメリットは、以下の通りです。
●高精度かつ非破壊的な計測ができる画像測定機は、高解像度のカメラ・センサーを用いた非破壊式の測定機です。そのため、対象物やサンプルを傷つけることなく、高い精度で形状・寸法を計測できます。接触による変形が生じやすい樹脂やゴムの計測には特に有効で、品質管理や設計の改善に役立ちます。 ●ヒューマンエラーを防止できる接触式測定機では、人による測定で誤差やばらつきが生じやすくなります。また、長時間の測定作業が必要となる対象物の場合は、集中力の低下や焦りによる人的ミスの発生リスクも起こりかねません。 しかし、画像測定器は人の手を一切使わずにボタン1つで対象物を測定できるため、作業者による測定誤差やヒューマンエラーの発生を防げます。 ●測定や検査にかかる時間を短縮できる画像測定機は、カメラで対象物を撮像し、画像処理技術でエッジを瞬時に検出するため、人の手による測定よりも時間を大幅に削減できます。測定時間の短縮を図ることによって人員削減にもつながり、結果としてコスト削減も実現できるでしょう。 |
前述の通り、画像測定器は医療・バイオテクノロジー・製造・半導体・食品など多岐にわたる業界・分野で応用可能です。上記で述べたメリットは、いずれの業界・分野においても普遍的に享受でき、より高度な技術への革新や競争力の強化も期待できるでしょう。
2-2. 画像測定機のデメリット
画像測定機を導入するデメリットは、以下の通りです。
●価格が高い画像測定機には光学レンズや高性能カメラ、さらに画像処理技術が搭載されていることから、接触式の測定機よりも価格が高い傾向にあります。 しかし、中には用途に応じて必要な精度や機能を絞った簡易型の画像測定機も存在します。したがって、まずは自社の使用目的や主な対象物を明らかにした上で、適切な画像測定機を慎重に検討するとよいでしょう。 ●専門知識が必要になる画像測定機を使用する際は、対象物に応じた設定をしなければなりません。適切な計測設定を行うには、専門知識が少なからず必要です。 また、画像測定機のスペックが高いほど操作も難しくなります。正確な測定結果を得るためには、オペレーターのトレーニングとベテランによる技術的なサポートが不可欠と言えるでしょう。 ●データ量が多い高解像度の画像を使用して計測する場合は、取得データ量が膨大となります。そのため、大量の画像データを保存・管理できるストレージの確保が不可欠です。 また、複数の測定データをリアルタイムでモニタリングする際は、データ処理の遅延が生じたりサーバーへの負担が増加したりする可能性もあります。こうした課題に対処するためには、データ保存ツールを導入するなどして適切なインフラを構築しておくことが大切です。 |
上記のように、画像測定機にはデメリットもありますが、専門知識の習得や適切なインフラの構築でほとんど回避できます。
3. 主な画像測定機の仕様
精密測定機器を取り扱う各種メーカーからは、あらゆる仕様・精度の画像測定機が多数販売されています。以下は、「ミツトヨ」「株式会社ニコンソリューションズ」「日本ヴィジョン・エンジニアリング株式会社」における代表的な製品です。
メーカー | 型式 | 測定範囲(mm) |
---|---|---|
株式会社ミツトヨ | QV-X302P1L-E | 300×200×200(X, Y, Z) |
株式会社ミツトヨ | QV-X606T1C-E | 600×650×250(X, Y, Z) |
株式会社ニコンソリューションズ | NEXIV VMZ-S3020 | 300×300×150(X, Y, Z) |
株式会社ニコンソリューションズ | NEXIV VMZ-S6555 | 650×550×200(X, Y, Z) |
日本ヴィジョン・エンジニアリング株式会社 | スイフトPRO | 200×100×98(X, Y, Z) |
日本ヴィジョン・エンジニアリング株式会社 | ホークデュオ | 200×150×244(X, Y, Z) |
(出典:Mitutoyo Japan「画像測定機」/https://www.mitutoyo.co.jp/products/measuring-machines/vision-measuring-systems/)
(出典:株式会社ニコンソリューションズ「画像測定システム」/https://industry.nikon.com/ja-jp/products/cnc-video-measuring-systems-nexiv/nexiv-vmz-s/)
(出典:日本ヴィジョン・エンジニアリング株式会社「非接触測定機」/https://www.visioneng.jp/products/non-contact-measurement/)
メーカーごとに製品の特徴や特徴的な機能が異なることはもちろん、同じメーカーでも型式によって、測定範囲や検査できる対象物の重量などが細かに異なります。各種メーカーの画像測定機をチェックして、自社に最も適した製品を検討するとよいでしょう。
4. 画像測定機を選ぶ際のポイント
数ある画像測定機から自社に適した製品を選ぶ際は、以下のポイントに着目しましょう。
POINT(1)対象物の詳細 | 形状材質サイズ重量 |
POINT(2)画像測定機の詳細 | 本体のサイズ目盛りの単位測定範囲測定可能重量分解能操作性 |
POINT(3)費用 | 予算とコストのバランス |
POINT(4)サポート耐性 | トラブル発生時のメーカーによるサポート体制アフターサービスの充実度メンテナンスサービスの有無 |
このように、画像測定機の選定にあたっては性能や費用だけでなく、サポート体制といった実務的な面にも目を向けることが大切です。
まとめ
画像測定機とは、光学レンズで対象物を拡大した映像をカメラでキャプチャし、その画像から対象物の形状や寸法を画像処理システムによって計測する測定装置のことです。数ある測定機の中でも唯一対象物に触れない非接触・非破壊式の測定機となっており、幅広い業界・分野のあらゆるシーンで活用されています。
画像測定機の導入にはメリット・デメリットがあるものの、自社に適した製品を選ぶことである程度のデメリットを回避できます。高額な製品となるため、主な対象物の詳細や画像測定機の機能性・サポート性、さらに予算とのバランスも見ながら慎重に検討するとよいでしょう。
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