COLUMN製品コラム

水分活性測定装置とは?測定方式や主要製品の特長・仕様を解説

製品番号5

食品や医薬品、化粧品の保存性や安全性を評価する上で欠かせないのが「水分活性」の管理です。水分活性(Aw)は、製品中の微生物が利用できる水分量を示す指標であり、数値が高いほど腐敗やカビのリスクが増加します。そのため、適切な水分活性の測定は、品質保持や賞味期限設定、規格適合の判断に直結します。

当記事では、水分活性測定装置の基本原理や測定方式を解説するとともに、代表的な製品の特長や仕様を紹介します。研究開発や品質管理の現場で役立つ基礎知識としてご活用ください。

目次

1. 水分活性測定装置とは?
1-1. 水分活性とは?
1-2. 水分活性と微生物の増殖

2. 水分活性測定装置の原理
2-1. 測定方式

3. 水分活性測定装置の製品特長・仕様
3-1. ロトロニック AWシリーズ AW-クイックNEO
3-2. ロトロニック AWシリーズ AW-USBクイック
3-3. ロトロニック AWシリーズ AW-Therm
3-4. ロトロニック AWシリーズ AW-HygroLab
3-5. 電気抵抗式 AwView

まとめ

1. 水分活性測定装置とは?

水分活性測定装置とは、食品や医薬品などに含まれる自由水の割合を測定し、製品の品質や安全性を評価するための装置です。自由水が多いと微生物の増殖リスクが高まり、腐敗やカビの発生につながります。そのため、水分活性の測定は微生物汚染のリスク管理に役立ちます。

また、保存期間や製品の安定性を検証する上でも重要であり、さらに食品・製薬・化粧品などの分野では、規格や認証の基準を満たすために必須の工程とされています。

1-1. 水分活性とは?

水分活性(Aw:Water Activity)とは、食品や医薬品、化粧品などに含まれる「微生物が利用可能な水分の割合」を示す指標です。含水率(全体の水分量)とは異なり、微生物や化学反応に利用される「自由水」の量を0.00~1.00の範囲で表します。一方、食品成分と強く結合して移動できない「結合水」は利用されないため、水分活性には影響しません。
たとえば、純水はAw=1.00、乾燥食品では0.30程度とされます。水分活性は食品の保存性や安定性に直結する重要な指標であり、塩や糖の存在によっても変化します。さらに、Aw値は食品を密封したときの平衡相対湿度(RH%)と関係し、Aw=RH÷100の式で表されます。このため、水分活性は保存性や品質管理の評価に欠かせない基礎的な尺度です。

1-2. 水分活性と微生物の増殖

水分活性は、食品中の微生物がどの程度増殖できるかを左右する重要な要因です。微生物ごとに「生育に必要な最低水分活性(生育最低Aw)」が異なり、細菌はおおむね0.90以上、多くの食中毒菌は0.94以上が必要とされます。例外的に黄色ブドウ球菌は0.86以上で生育可能です。酵母は0.88以上、カビは0.80以上でも増殖でき、乾燥環境に強い特徴があります。
一方で、Awを0.50以下に抑えるとすべての微生物の繁殖を防ぐことが可能です。そのため、水分活性値を把握することで、どの種類の微生物が腐敗や劣化の原因となり得るかを予測できます。食品の保存性を高めたり、賞味期限を設定したりする上で、水分活性の管理は重要な役割を果たしています。

2. 水分活性測定装置の原理

水分活性測定装置は、食品やサンプルを密閉容器に入れたときに生じる空間内の相対湿度を利用して測定します。サンプル中の水分は蒸発や吸湿を繰り返し、やがて容器内の空気と平衡状態に達します。このときの相対湿度を数値化したものがそのサンプルの水分活性(Aw)です。
原理的には、同じ温度におけるサンプルの蒸気圧(P)を純水の蒸気圧(P₀)で割った値として表され、数式ではAw=P/P₀=RH/100となります。測定装置はこの相対湿度をセンサーで検出し、換算することで数値を得ています。測定結果は、食品や製品の保存安定性や品質評価のための重要な基礎データとして活用されます。

2-1. 測定方式

水分活性測定装置には、主に以下の3つの測定方式があります。それぞれ特徴や適用分野が異なります。

■鏡面冷却式(露点式)
センサーの鏡面を冷却して結露を発生させ、その露点温度から水蒸気圧を算出する方式です。非常に高精度で信頼性も高い一方、大型で高価になりやすく、研究用途や基準測定に多く用いられます。

■静電容量式
感湿素子が吸湿・脱湿することで変化する静電容量を測定する方式です。小型でデジタル出力機能を備えた機種も多く、食品や化粧品分野で幅広く利用されています。ただし、アルコールなど揮発性物質に弱く、センサーの劣化が早まることがあります。

■電気抵抗式
感湿素子が吸湿・脱湿することで変化する電気抵抗を測定する方式です。低湿度域の測定は不得意ですが、食品や化粧品などで必要とされる範囲では十分に対応可能です。アルコール耐性が高く、食品衛生法でも使用が指定される場合があります。

3. 水分活性測定装置の製品特長・仕様

水分活性測定装置には、用途や測定方式に応じた多様なモデルがあります。ここでは、研究用途から現場での簡易測定まで幅広く対応するロトロニック社の各シリーズ製品と、電気抵抗式の代表的モデルを紹介します。

3-1. ロトロニック AWシリーズ AW-クイックNEO

ロトロニック社の「AWシリーズ AW-クイックNEO」は、食品や製品中の水分活性を迅速かつ正確に測定できる小型装置です。充電式バッテリーを搭載し、現場での持ち運び測定に適しています。

AWクイック機能により、約5分で予測測定が可能で、平衡点測定(ERH)モードによる高精度な測定も行えます。測定範囲は0.005~1.000Aw、精度は±0.008Awと高水準です。湿度は静電容量式、温度はPt-100白金抵抗式を採用し、食品や医薬品の品質管理に有用です。小型ながら2台の測定ステーション接続やiOS/Android対応など操作性も高く、保存性評価において信頼性のある機器です。

3-2. ロトロニック AWシリーズ AW-USBクイック

ロトロニック社の「AW-USBクイック」は、PCとUSB接続して使用する水分活性測定装置です専用ソフトをインストールしたPCのUSBポートに測定ステーションを接続するだけで稼働し、複数ポートを利用すれば大量サンプルの同時測定にも対応可能です。レポート自動作成や時系列グラフ表示により測定結果を効率的に管理でき、拡張性にも優れています。
測定範囲は0.005~1.000Aw、精度は±0.008Aw、湿度は静電容量式、温度はPt-100白金抵抗式を採用しています。小型軽量(200g)で扱いやすく、食品や医薬品の保存性評価に適しています。平衡点測定モードとクイック測定モードを搭載し、迅速かつ正確な品質管理を実現する装置です。

3-3. ロトロニック AWシリーズ AW-Therm

ロトロニック社の「AW-Therm」は、温度調整機能を備えた一体型の水分活性測定装置です。動作範囲1~40℃の温度制御が可能で、外部環境の影響を受けにくく、恒温機と併用していたユーザーにも適したモデルです。

測定範囲は0.005~1.000Aw、精度は±0.005Awと高水準を誇り、食品や医薬品の保存性評価に信頼性を発揮します。湿度は静電容量式、温度はPt-100白金抵抗式を採用し、平衡点測定モードとクイック測定モードを搭載しています。PCやモバイル端末との連携にも対応し、安定した測定環境で迅速かつ正確なデータ取得を実現します。研究開発や品質管理現場での使用に最適な高性能モデルです。

3-4. ロトロニック AWシリーズ AW-HygroLab

ロトロニック社の「AW-HygroLab」は、最大4台までの測定ステーションを接続できる高機能型の水分活性測定装置です。7インチのタッチスクリーンを搭載し、直感的な操作が可能となり、測定効率が向上しました。AWクイック機能により予測測定を短時間で行えるほか、平衡点測定モードで高精度な分析も可能です。

測定範囲は0.005~1.000Aw、精度は±0.008Awで、食品や医薬品の保存性評価に有効です。さらに測定データは自動的にレポート化され、16GBのストレージに保存できます。静電容量式湿度センサーとPt-100白金抵抗式温度センサーを採用し、安定した品質管理を実現するラボ向けモデルです。

3-5. 電気抵抗式 AwView

神栄テクノロジーの「AwView」は、食品の保存性評価を手軽に行える電気抵抗式の水分活性測定装置です。高価で複雑とされがちな水分活性計測を、低コスト・簡単操作・迅速測定で実現した点が特長です。食品衛生法に準拠した電気抵抗式湿度センサーを採用し、約10分で測定結果を表示します。

本体は270gと軽量でボタン電池1個で駆動し、携帯性に優れています。専用アプリをインストールしたスマートフォンやタブレット端末と連携でき、結果は自動保存されPDF形式で出力可能です。測定範囲は0.10~1.00Aw、精度は±0.03Awで、食品衛生検査や日常的な品質確認に適しています。コストパフォーマンスに優れ、幅広い現場で導入しやすいモデルです。

まとめ

水分活性は、食品や医薬品、化粧品などの保存性や安全性を左右する重要な指標であり、微生物の増殖や品質劣化を予測する上で欠かせません。測定装置は相対湿度を利用して自由水の割合を算出し、品質管理や規格適合の基礎データとして活用されます。

アズサイエンスでは水分活性測定装置を取り扱っていますので、お気軽にお問い合わせください。目的に応じた最適な機器を揃えて、研究クオリティの向上を目指しましょう。

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